チャート解釈の手引き

 

  出生図(バース・チャート、ホロスコープ)の解釈は、まず次の基本的な部分をしっかりと頭に入れておくことが大切。

 

  1、重要なのは、太陽、月、上昇宮(ASC=アセンダント、上昇点)の三つである。

  それぞれの星座がどの様になっているかをよくみて行く。人生の時間的な流れから言うと、子供時代や若いうちは月の影響力が強い。十代から四十歳くらいまでは上昇宮が、その後は太陽の影響力が強くなる。人によって、影響が強くなる年代はすこし異なるが、大体この程度であるということを頭にいれておくこと。

 

 月は感情的に愛着を感じる分野であり、この性質は、決して論理的なものでは無い。母親の影響や、もの心がつく以前の幼児期に形成された心理が強く働いている領域の性質である。つい何気なくそうしてしまうような事は月の影響。胎内に居たときに受けた感情的な影響も考えられる。上昇宮は、自分を表現する上でなにかきっかけになる「存在の場」のようなもの。自己という意識がやや無自覚ながら発達し始める14歳頃から影響が見られる場合が多い。太陽は、肉体が一応出来上がった25歳以後にはっきりとした影響が感じられる事が多い。何かこの人生の中でこだわらなくてはならない分野とか、その事柄を通じて自己をしっかりと確立していくということは、太陽が支配する分野である。肉体の生命力も多くは太陽が受け持っている。この三つの性質を自動車に例えると、上昇宮がボディー、月がガソリン、エンジンは太陽に相当すると考えてよいだろう。

 

  まず、解読はこの三つの要素をじっくり分析する事を奨めます。まず、四元素、つまり、「地、水、火、風」の要素を考えます。また、「活動、不動、柔軟」の三要素にも注目すること。同じような性質が出てくる場合は、その点が強調されていますので。

 

  月は日常的でサイクルが短い事柄。太陽は社会的で外的でスパンが長い事柄に対応。また、月は前世から受け継いだ傾向、太陽は今生の目標を示す事が多い。

 

  2、チャート解釈での重要事項

 

  A、自分自身の事、容貌、肉体・・・第1室、太陽、月。第1室の支配星とその星座、存在する室とアスペクトを見る。太陽や月の星座、存在する室とそのアスペクト。アセンダント付近で、アセンダントの下側15度までと上側5度までにある惑星は、「上昇惑星」といって特に重視する。つまり、影響力が強く、その人の自己表現の有り様に大きな意味を与える。

 

  B、感覚、所有物、金銭・・・第2室、月、金星。第2室の支配星の位置する星座、室、それに対するアスペクト。月や金星に対するアスペクトを見る。

 

  C、人生の初期の価値観、心理、兄弟、学校時代の成績・・・第3室、水星。第3室の支配星の位置とそれに対するアスペクト。水星に対する惑星のアスペクト。

 

  D、生まれ育った家庭、心理的な基盤・・・第4室、月。4室の支配星の位置とアスペクト。月に対する他の惑星のアスペクト。

 

  E、創造性、スポーツ、趣味、レジャー、子供、恋人、遊びで行う賭事・・・第5室とその支配星の位置とアスペクト。太陽とそれに対するアスペクト。

 

  F、日常生活、くせ、健康、保健衛生、奉仕活動・・・第6室とその支配星の位置、アスペクト。水星とそれに対するアスペクト、太陽、月とそれに対するアスペクト。(健康・体質はアセンダントも見ておくこと。)

 

  G、対人関係、結婚、離婚・・・第7室とその支配星の位置、それに対するアスペクト、金星、月、太陽の位置とそれに対するアスペクト。(男性は主に月と金星を重視する事。女性は太陽と火星を重視する。)

 

  H、他者との一体感、他者からの評価、セックス・・・第8室とその支配星、火星、冥王星とそれに対するアスペクト。

 

  I、精神の拡大、高等な知性、価値観、外国・・・第9室とその支配星、木星、太陽とそれに対するアスペクト。

 

J、天職、意識の頂点、父性原理、権威・・・第10室とその支配星、土星、太陽の位置とそれに対するアスペクト。

 

 K、友人、あらゆる種類のグループ活動、損得を越えた願望、希望を達成する方法・・・第11室とその支配星、天王星とそれに対するアスペクト。

 

 L、潜在意識、奉仕活動、逃避の傾向、前世、ヴォランティア・・・第12室とその支配星。海王星とそれに対するアスペクト。(ヴォランティアは第6室、第11室も関わってくることが多い。)

 

  3、具体的な事柄はどこをみるべきか

 

 A、子ども時代・・・月、水星、金星とそれに対するアスペクト。十代からはアセンダント=上昇宮も入る。

 

 B、学校時代の状況、性質、成績、友人など・・・月、水星、金星とアスペクト。第3室とその支配星。

 

 C、大学、高等教育、資格など・・・第9室とその支配星、木星とそのアスペクト。太陽もかかわることも多い。

 

 D、短い旅行、通信、連絡、契約・・・第3室、水星とアスペクト。婚約などは第7室

 

 E、小学校から高校までの友人、兄弟姉妹・・・上に同じ

 

 F、大学、高等教育における状況、友人など・・・第9室、木星、金星。

 

 G、自分で稼ぐお金・・・第2室とその支配星、月、太陽、金星など。

 

 H、パートナーの経済能力、株、遺産、借金、ギャンブルなどは・・・第8室と支配星、冥王星、火星、土星とアスペクト。第2室と180度反対の室である事に注目すべし。

 

 I、恋人、配偶者・・・恋人は第5室、結婚した後は第7室で見ること。

 

 J、雇われて行う仕事・・・第6室と支配星、水星、月の位置とアスペクト。

 

 K、外国旅行、外国人との関係、語学力・・・射手座の状況、第9室とその支配星、木星、太陽とアスペクト。風の星座の状況。(つまり、双子座、天秤座、水瓶座の状況。)

 

 L、子供・・・第5室、第8室とその支配星、月または火星とそれに対する他の惑星のアスペクト。

 

 M、芸術性、芸術への興味と才能・・・金星、海王星の位置とそのアスペクト。水の星座の状況。(つまり、蟹座、蠍座、魚座の状況。)

 

  N、霊感、インスピレーション、意識の発達が期待出来るかどうか・・・月、太陽、木星、天王星、海王星の位置とアスペクト。第9室から第12室までの状況。

 

 O、職業的能力の発揮状況・・・第6室、第10室(またはMC)、火星とそのアスペクト

 

  P、社会的発展力、指導力・・・木星、太陽とアスペクト、第9室、第10室の状況

 

 Q、社会における評価、出世、地位・・・土星、太陽とアスペクト、第10室、またはMC(南中点)の状況。

 

 R、セックス、生殖能力・・・火星、金星、太陽、月とそのアスペクト、第5室、第8室の状況。水の星座は生殖能力と関係が有る。(蟹座、蠍座、魚座)

 

 S、土地、不動産・・・第2室、第4室、第8室とその支配星。月、木星、土星とそれに対するアスペクト。または地の星座(牡牛座、乙女座、山羊座)

 

 T、部下、使用人とその関係・・・第6室と支配星、水星、月とアスペクト。

 

 U、人気、大衆への浸透力・・・月と金星、それに対するアスペクト、第10室の状況。

 

 V、超心理学、占星学、霊感、神秘学などへの理解と才能・・・天王星、海王星、冥王星などの位置とそれに対するアスペクト。水の星座が強い場合は神秘学に対する才能あり。(これは蟹座、蠍座、魚座である。)

 

 W、心理的な傷、トラウマ・・・全ての惑星が関係するが、第3室と12室、惑星は主に土星とキローンが関わる事が多い。この惑星の位置とアスペクトを注意深く吟味すべし。

 

 X、心理学的、カウンセラー的興味と才能・・・第12室の状況とその支配星の位置。月、キローン、天王星、海王星、天秤座、蟹座の状況。

 

 Y、前世の状況・・・第12室の状況とその支配星の位置。また、ドラゴンテイル、月の状況とそれに対するアスペクトも前世を示す。また、時にはドラゴンヘッドも前世を意味している。

 

 Z、今生の最終的目標、願望の達成法、人生の結果・・・通常、太陽の位置を、最終目標と設定して努力すべきである。始めはうまくいかなくても、徐々に力が発揮できる事が多い。MC(南中点)も重要な要素。願望の達成方法は普通、第11室にそのパターンが表れる。この室にものごとを達成しようとする場合の努力の方向、心理パターンが表れる。また、長所、欠点も同時に表れる。人生の最終的な結果は第4室とその支配星の位置、土星で見る。死は第8室とその支配星、または冥王星で見る。

 

  4,問題点ならびに人生の課題を発見する方法と、問題点や欠点の克服法

 

  太陽のある星座の180度反対側の星座、月の星座、また土星は苦手な分野を示す事が多い。したがって、この星座や月や土星の入っている星座を意識して使いこなす必要がある。嫌々ながら苦手な分野を行うのは心理的に良くないので、まずこの星座が示すような性質の人と友人になるのがよいだろう。人間関係を通じて異なる惑星の波動を取り込んで行くこと。特に、自分の太陽がある星座の反対に太陽や強力な惑星がある人や、自分の月のある星座の近い度数に太陽を持つ人は、自分いに良い波動を与えてくれることが多い。そのようなことをして行くことによって、自己の中に心理的なバランスを作って行く事が望ましい。いわゆる「人間星占い」である。具体的なチャートを使っての問題解決法は他の機会に譲ります。

 

 5,太陽や、月、ASCなどに強力なアスペクトを作る惑星が作る問題、テーマなど

 

 A,太陽、月、上昇宮や上昇宮の支配星にアスペクトを作る惑星が水星や金星の場合は、ほとんどの人の場合、起きてくる問題は日常的な事柄または個人的な問題である。年齢的には問題は若いうちに起きる事が多い。これらは解決するのに短い期間で済むだろう。

 

 B,アスペクトを作る惑星が火星、木星、土星である場合は、30歳代以後に事柄が起きて来るだろう。社会的・職業的な問題、または性的な問題が考えられる。解決に時間がかかるかどうかは人によって異なるが、普通火星は速く、木星もやや速いだろう。土星の場合は通常解決は長引くことが多い。

 

 C、天王星、海王星、冥王星は宇宙的で霊的な波動の星である。これらの惑星がたいよう、月、アセンダントとアスペクトを作っている場合は、霊的で精神的な課題をこの人は持っているのである。人生の基本的な目標は、まず第一に心理的な面で成長しなくてはいけない。そうしないと実際の生活がうまくいかないのである。瞑想やセラピーで潜在意識のクリーニングをしたりなど、内面を整える事が問題解決につながって行くだろう。このCの人たちは、それまでの二つのタイプの人たちと違って、優れた直観力を持つが、反面現実と遊離しやすいので注意すべきだろう。天王星は多くの場合、常識的な生き方に反逆しやすいが、独創性や発明力が高い。海王星の場合は霊感のアンテナが発達している。冥王星の場合は異常な能力や生き方を示す。(ビル・ゲイツは、第3室に獅子座の冥王星があり、それは木星と会合していた。彼の獅子座の冥王星と木星は、第3室の性質であるコミュニケーション能力に異常な表現方法と性質を与え、結果として大きな世間的評価と莫大な富をもたらした。つまり、コンピュータのオペレーティング・システムの開発能力と起業力である。)

 

  アストロロジーの学習者はまず、上記の点をしっかり憶えて下さい。何回も読み、自分や家族、友人のチャートの大まかな傾向を読みとれる様にすること。そうすると勉強が楽しくなってきます。このレベルをしっかり憶えていて解釈できる人は「中級クラスの上の方」と言ってよいでしょう。

 

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