冥王星の影響と時代(世代)

 

ここでは、冥王星の影響が、それぞれの星座にどのような影響を与え、各時代(各世代)にどのように表面化して来ているのかを見ていきます。

 

冥王星は、直径約2000Kmの氷の天体で、1930年3月10日、アメリカのトンボーによって発見されました。そのときの位置は、蟹座の17度31分でした。冥王星の公転周期は約248年です。ゆがんだ楕円軌道であり、また黄道面に対して最大17度も傾いているので、各星座に留まっている期間にはかなりの違いがあります。例えば、蟹座に居た期間は25年もあるのに、蠍座に留まっていた期間は短くて13年でした。また、この惑星は軌道が偏っているので、太陽を一周する間に約20年間は海王星の軌道の内側に入ります。最近まで海王星の内側に入っていましたのでご存知の方も多いでしょう。その20年の期間と言うのは、1979年の1月から1999年の2月まででした。

 

発見されてからそんなに時間が経っていないこともあり、まだその働きに不明な点もありますが、人類の意識に深いレベルで大きな変化をもたらす惑星であることは確かです。

 

冥王星のキーワードは、「大変動、世界大戦、大企業、グローバルな意識と出来事、カルマ、魂の根源的欲求、死と再生、性エネルギー、暴力的、強制的変化」などです。物事を根本的に変革する力を持ちます。神秘的な面においては、ヨーガの心霊的エネルギーであるクンダリニーを象徴すると言う人もいます。また、太陽系の中のエネルギーと外宇宙のエネルギーを出し入れして交換したりする、「太陽系の門」としての働きをする惑星であるとも言われています。

 

発見されたのが蟹座にいた時なので、その星座以降を詳しく説明します。双子座以前の星座の時代のことは、人類は冥王星の存在を知らず、意識していなかったので、影響力は弱いのではないかと言う考えから手短かにしました。この内容は、色々な占星学者の意見と、私の見解を混ぜて書いてあります。

 

 

牡羊座にある冥王星(1823年から1852年)・・・まだ、牡羊座の荒っぽい波動を人類は受けていた。イギリスでは決闘が許されていた。大英帝国の力と権威は続いていた。徐々に工業化社会の原型が出来てきた。世界的に外科手術が広がって来て、進歩の後が見えてきた。日本は幕末の動乱の直前。

 

牡牛座にある冥王星(1852年から1884年まで)・・・アメリカではゴールドラッシュの時代。優れた音楽や美術が商業化されるようになって来た。初歩的なものであるが、資本主義経済が確立されてきた。また、それを批判する社会主義思想の芽生えもあった。

 

双子座にある冥王星(1884年から1914年まで)・・・初等・中等教育が世界的に普及し始めた。交通も、道路の整備や鉄道の普及により人々は各地に出かけることが一般化し始めた。電信・電話も普及し始めた。また、この時代には新聞が普及した。そして、多くの優れた文学作品が生れた。本を読むことに生きがいを最も強く感じられた時代であろう。また、この時代に生れた人々の中には、世界的に多くの影響を与えた思想家・学者・政治家が多い。例えば、ハイデガー、トインビー、B.ラッセル、毛沢東など。

 

蟹座にある冥王星(1914年から1939年まで)・・・この時代は、蟹座の意味する「家庭内」の出来事が外側に広がって行った。それはレストランや喫茶店などの普及である。そして、それまで家庭内に居た多くの女性が外に出て仕事をし始めるようになって来た。働く女性、キャリア・ウーマンの最初の登場である。また、各民族の持っている文化がその地域だけでなく、他の文化圏の人にも多く知られるようになって来た。この時代は各国家・民族の中にあるナションリズムも激しく勢い付き、第二次世界大戦に向けての帝国主義も世界に広がって行った。そして、結果的には、今までの蟹座的な狭い情緒的世界観と文化をぶち壊して行く結果となった。この時代の特徴として、冥王星が発見される前までは、ややのんびりとした面があったが、1930年3月に発見された後は、時代は急激に変化の方に進んで行ったような感じがする。科学面では原子力エネルギーが知られるようになった。この時代に生れた人の多くは、それまでの古い地域的な発想とか民族的な伝統に従わないとか、それらを修正するような働きをしているように思える。ただ、本質的な価値観はやや保守的で安定志向の面もあるようだ。冥王星が双子座世代に比べると感情的表現力に優れるようである。日本では、「マイ・ホーム」という言葉を流行させた世代でもある。この時代に生れた人の中には、マスコミの発達により、ひとつの国や民族・地域の中だけでなく、世界の多くの人に知られるスーパー・スターになる人も出て来た。例えば、J.F.ケネディー、マリリン.モンロウ、エルヴィス.プレスリーなど。日本ではこの世代には、故三島由紀夫氏、長島茂雄氏、小沢征治氏などが居る。

 

獅子座にある冥王星(1939年から1957年)・・・この時代は明らかに獅子座の持つ権威や権力、そして政治体制を刷新する強力なエネルギーとして冥王星が働いた様である。第二次大戦の影響で、多くの王国は崩れ去り、そして社会主義国家が生れた。原子爆弾が初めて製造、投下され戦争のあり方に大きな変化をもたらした。獅子座は表現能力や創造的意識を表すが、この時代は新たな芸術の創造に向けて多くの若者が奮闘した時代であった。また、この時代に生れた人たちは、学生運動にのめり込んだり、ヒッピー化したり、ロックミュージックを普及させたりと、極めて忙しくそして騒々しい世代でもあった。それまでの世代や伝統に本気で反逆を開始した世代と言える。セックスの自由化やインドの瞑想を普及させたのもこの世代。そういうわけで、第二次大戦後の新しいライフスタイルを創造した世代と言えるでしょう。したがって、この世代のもたらした新しい生活感覚は今も引き継がれている。この時代に生れた有名人は、J.レノンはじめビートルズの全員、ミック.ジャガー、エリック.クラプトンなどロックのヒーローがずらりと揃っています。野球では王貞治氏、芸能界では吉永小百合さんなどがいます。

 

乙女座にある冥王星(1957年から1971年まで)・・・科学的に分析すること、医学、細やかさなどを意味する乙女座に冥王星が入ると、時代はオートメーション化が急速に発達し、それまでの工場のイメージを一新した。会社の経営者はそれまでの機械が役に立たなくなり、こぞって設備投資に励んだ。この時期日本は未曾有の経済発展を遂げた。農業も機械化が当たり前になり、また化学肥料が多用されるようになった。新しい薬品も多く発明されたが、薬害や公害も広がった。徐々に環境問題というテーマが世界的に広まっていった。医学の状況も著しく変化し、1965年心臓移植が初めて行われた。日本でも1968年札幌で初めて心臓移植が行われたが、患者が2ヶ月後に死亡し、多くの議論を呼んだ。社会はストレスも多くなり、現実逃避する人や神経症患者も増えていった。ベトナム戦争やヒッピー思想の影響もあるのだろうが、多くの若者がドラッグやシンナーにのめりこんで行った。この時代は宇宙開発は目ざましかった。1969年のアポロ11号の月面着陸は、いわゆる「科学の乙女座の力」の一種の集大成と言えよう。この世代の生れの人は、獅子座の人と異なり、地道に生活の中から物事を変革して行こうとしているようである。NGOの活動家も多い。前の世代よりも精密機械やコンピュータに対して違和感なく付き合っているようである。1963年から1969年の初めまで冥王星と天王星がこの乙女座で会合した。「アクエリアス時代の夜明けを創っていく重要な世代」と言っている占星学者も多い。有名人では、マイケル.ジャクソン、吉本ばななさんなどがいる。

 

天秤座にある冥王星(1971年から1984年まで)・・・この時代は世界的に性的な行動が本格的に開放されていった時代であろう。したがって、結婚前に男女が肉体的に結びつくのは当たり前になった。また、国際結婚が増えてきた。また同棲したりすぐに別の恋人に乗り移ったり、複数の恋人を持つようなことも起きてきた。結婚後の恋愛なども増えて、離婚は増加の一途をたどった。性の表現も自由化されていった。社会では、国際的な大きな視点で企業活動する傾向が出てきた。それは、多国籍企業の増加などに見られるだろう。個人的な結婚などだけでなく、外国人と一緒に仕事をすることは当たり前になっていった。

 

美術や音楽は益々ビッグ・ビジネスになっていった。心理学や人間関係論も世界的に関心がもたれるようになった。自己意識の確立とその超越に関することを論ずる「トランスパーソナル心理学」が登場したのもこの時代。この世代の生れの人は、従来の自我の発達と言うものにあまりこだわってはいないかもしれない。それは、パートナーや仲間の集合的意識を重視しつつ、それを鏡として自己を形成すると言うものだからである。付和雷同とも違うし、従来の根性型「頑張り屋人間」とも異なる新しいクールな世界観を持つ人たちと言えそうである。一見、主体性がない様に見えるが、意外にしぶといのかも知れない。今後、この人たちは世界の融和と新しい芸術を生み出す世代として活躍が期待される。

 

蠍座の冥王星(1984年から1996年まで)・・・世界的にオカルトは普及していって瞑想やチャネリングが当たり前に認められるようになっていった。これは、世界的に見ると一部の地域かもしれないが、シュタイナーの神秘哲学や教育が関心をもたれるようになった。体外受精児や他人の精子や卵子による生殖医療が広まっていった。エイズが世界的に拡大していった。1986年4月には旧ソ連のチェルノブイリで原子炉爆発事故が発生した。1989年5月には冥王星は近地点を通過し、11月には近日点を通過した。日本では、昭和が終わり平成に移った。中国では6月に天安門時間が発生。11月から12月にかけては、ベルリンの壁崩壊、そして東ヨーロッパの民主化と目まぐるしく世界は動いていった。蠍座は第8室と関係があるので、「人のお金で儲ける」と言う発想も広まった。日本ではバブル景気で、この時期に素人ながら株式投資や不動産投資に目を向けた人も多かった。この時代に生れや人は、おそらく、新しい「死生観」を確立するとか、また「新しい経済システム」を創造していくことになるでしょう。

 

射手座の冥王星(1996年から2009年)・・・これを書いているのは2002年の4月ですから、まさに今現在なのですが、冥王星は、射手座の持つグローバルな視点と意識に更に大きな刺激的パワーを与え続けているようです。インターネットの普及やそれにまつわる問題点は、射手座の冥王星の影響でしょう。この時代は情報量は大幅に増え、また世界的な意味での交流も増えていきます。ただ、それに関わる混乱も増長されます。それから、射手座は高等教育に関係しますから、今後は特に大学や大学院教育の分野は大きな変化があるでしょう。それぞれ各星座は半分の15度まではその星座のテーマが勢い付いて発展します。それ以降の度数はそのパワーは収束に向かいます。(現在冥王星は、射手座の18度に移って来ています。したがって、インターネットや携帯電話などでの「IT産業」は2000年までとは違い伸び悩むことになります。まして、通信・連絡を意味する双子座に土星があるので、来年の前半まではパッとしないようです。)それから、この冥王星が射手座にある時代には、「人類の中に大きな理想が芽生える時期」でもあると解釈をしている研究家もいます。

 

山羊座の冥王星(2009年から2023年まで)・・・この時代は、政治や経済、軍事面などで大きな変化がありそうです。今までの金融体制や政治体制は世界的に大きな変化が迫られそうです。多くの国で銀行は危機に見舞われそうです。各国の軍事組織も崩壊していく可能性があります。これからの時代の中で最も大きな変化の時代になるかも知れません。この時期は新しい価値観と古い価値観が激しくぶつかることになるでしょう。地球環境を壊さないような新しい経済原理、テクノロジーを考え出す人も出て来るでしょう。

 

水瓶座の冥王星(2023年から2043年まで)・・・この時代は、人類は新たな文明の夜明けを見るでしょう。新しいエネルギーによる通信や交通手段、医学が徐々に出てきます。意識は拡大し、宇宙からのインスピがレーションが日常的にもたらされる人が急激に増えて行きます。科学と宗教と芸術を統合するようなセオリーが出て来るでしょう。何も無い空間からエネルギーを取り出すと言うような、新たな「宇宙エネルギー」に関して、それが理論的に解き明かされ、ピラミッド・パワーなどの“波動エネルギー”が実用化されて来ます。そしてそれは、教育、医療、農業、発電など多くの分野で画期的な変化をもたらします。先史時代の古代文明の存在も証明されて行くでしょう。そして、統合と友愛の“アクエリアス時代の幕開け”とも言える状況に徐々に進んで行くことになるでしょう。いずれにしても、新時代の基礎を築く時代と言えるでしょう。

 

魚座の冥王星(2043年から2067年まで)・・・これまでの宗教が衰退して無くなって行きます。今までの宗教や信仰の良い点は残りますが、形式的なことやそれに基付いた生き方をする人はいなくなって行きます。また、人類の意識において、魂の深いレベルに変化が起きて来るでしょう。そして、内面的な深い魂の領域を表現する新たな手法に目覚めて行きます。それらは、心理学、科学、芸術などの多くの分野に及ぶでしょう。より高いレベルでの「透視能力、テレパシー能力」を発揮する人もちらほら出て来ます。性的な事柄は完全に解放されて行きますが、性を商品化する文化はこの時代はもはや消滅して行きます。

 

次に牡羊座に冥王星が入っている時代に(2067年以降)、この地球から国境と言うものは無くなって行くでしょう。おそらく、それは2070年代であろうと私は予測しています。

 

 

以上、各星座と冥王星の関わりを見てきました。

なお、今後のことは、あくまでも予測です。より良い未来は、私たちの心の中にあります。意識を変えれば、より良い時代はもっと早くやって来るでしょう。ですから、もっともっと楽しい未来をイメージしてください。

 

この冥王星の年代の、「何座にあるのは何年から何年」という表記ですが、ご存知の様に惑星は逆行と言うのがあり、一旦星座が変わっても、後でまた前の星座に戻ることもあります。ですから、区分された年はきっちり正確でないところもあります。星座の境目のことなど、冥王星の詳しい位置は、出版されている天文暦を見たり、占星術のパソコン・ソフトで調べてみて下さい。

 

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