マイナー・アスペクト

 

  メジャー・アスペクト(大アスペクト)に比べて、マイナー・アスペクト(小アスペクト)は、あまりアストロロジーの研究書でも詳しく触れているものが多いとはいえない。確かに、チャート判断をする上での骨格に当たるものとは言えないが、全体から見ると副次的な面として捉えるのが良く、ご飯に対してのおかずや調味料といった趣きはある。ただ、注意深く判断すると無視出来ないものもあり、そのチャートを際立たせ、人生により豊かな味わいを出していくためには、この「副食的な座相」も自覚して使って行く方が、より有利である事は間違いない。

 

  ここでは、基本的に、ネータル・チャートの中の二つの惑星同士のアスペクトとして触れて行くが、三つが一緒になっている場合もあり得るので、その場合はやや複雑になるが、惑星同士の性質を加味していきながら臨機応変に対応して読みとって行くこと。また、惑星がマイナー・アスペクトのみだけを受けている場合は、そのアスペクトの影響力が主導的であると見るが、他にメジャー・アスペクトを受けている場合は、そのメジャー・アスペクトを補足・補強するものとしてとらえて行くとよい。また、単に調和、不調和などの先入観を持って判断しないこと。

 

 ここでは、私が、今までの研究で重要と考えているマイナー・アスペクトの説明をして行くことにする。なお、このアスペクトの説明は、ネータル、プログレッション、トランシットの何れにも適用してよいが、ネータルは生まれつきの傾向であるから、惑星同士を結びつけているアスペクトの性質は長続きする。場合によっては、一生続く事もあり得る。

プログレッションとトランッシトは、後天的であり、流動的なので、その都度、影響する期間などを判断していく。普通、プログレッションはメジャー・アスペクトと共に、このマイナー・アスペクトも時は重要であるとして判断して行かなければならないが、トランシットの場合は、マイナー・アスペクトはほとんど無視しても差し支えない様に思われる。(ネータルで、1度以内の正確なマイナー・アスペクトを形成している惑星同士のトランシットなどの場合のみ、考慮して見て行くとよいだろう。)

 

  1,30度・・・セミセクスタイル

  これは、円(天球の十二宮を 12区分した度数であり、また、十二室の次の室(または前の室)との関係を表している。第一室から見ると、前の室は十二室だから、あこがれや夢、イメージ、無私の愛情や感情、逃避的傾向であり、第二室側に見ていくと、所有意識や金銭感覚などを表す。ただ、この30度のアスペクトは、隣同士のサイン(室)であり、あまりにもすぐ近くにあるために、本人は自覚しにくく、何となくその二つの惑星同士の関係に巻き込まれているといった感じになりやすいのである。それなりに良いセンスやヴィジョン、経済観念や実務性を与えるアスペクトとも言え、多少芸術的な気質があり、また福祉的な優しい気質を与えてくれる角度と言える。ただ、出生図で30度をいくつか持っている人を見ていると、自己主張がうまく出来なかったり、ものの見方などが主観的で一面的だったりすることもある。

 

2,45度・・・セミスクウェア

  これは、360度を「8という数」で割ったもの。従って、「8という数の波動と性質」がいくつか入ってくる。8は精神と肉体の統合とか、純粋無垢な状態、ビジネス、社会的なパワーを表すが、強さとしては、90度のアスペクトのようにダイナミックに出てくることはない。スクエアで説明したが、この世界は90度、つまり四角形で出来ている。その半分のこの45と言う角度は、ちょうど家を建築する時の、柱と柱を斜めに支える「梁・はり」のような存在といえる。通常、コツコツ真面目に働くことを意味する。多少、スクエアに比べると行動は地味な感じを与えるアスペクトであるが、ビジネスや、願望の物資化と具体化、また性的関係などでは無視出来ないアスペクトといえる。

 

 意味としては、ヴィジョンや希望をかなえるための行動やハード・ワークなどがある。ただ、この座相を多く持つ人や、2,6,10室にある惑星がこのアスペクトを受けていると、仕事が忙しい割には収入が少ないことが多い。他の意味は、二つの価値観の間で揺れ動くこと、また二つの異なる性質や次元の違う事柄を上手く調整したり、橋渡しをする能力として出て来る人もいる。(否定的な面が出ると水星や風の星座では、論争好きになり、平行線の議論を延々としたり、酒の席で絡んだりする。金星、火星、冥王星などが関係すると、性的な葛藤となる。意識の高い人はその葛藤のエネルギーをバネとして創造的な方面に使うことが出来る。)また、このアスペクトは、ヴィジョンを物質化していくことに困難を覚える人は、「偽りやごまかしの世界に逃避」しやすいのである。90度のように、際だった問題や犯罪行為には至らないが、政治家や官僚の「贈収賄事件」やまた「裏口入学」などは、このアスペクトの影響を強く持つ人の行為と言えそうである。結局、他人を偽る人は、自己を偽っているのであるから、「自分にもっと正直に生きなさい」ということを促していると考えられるアスペクトなのである。

 

  3,51度26分・・・セプタイル

  これは、天球の360度を「7という数」で割って得られた度数である。これは、意識の微妙な変化や魂の奥底から来るインスピレーションと関係があると言われている。また、それは、集合的無意識との関係の中から出てくる個人の意識とも言えそうで、霊感やチャネリングなどとも関係がありそうである。また、運命的な出来事を示す度数でもある。私の経験では、このアスペクトは、ネータルよりも、むしろプログレッションでの影響を感じることが多い。特に太陽と月のプログレッションが、出生図の惑星にこのアスペクトを形成したときに、運命的な出来事や、カルマの調整が行われるようである。人によっては、半ば強制的に運命の流れに捕まってしまうようなことも起きるようである。従って、プログレッションで、このアスペクトを形成するときに、他に、それを助長するような惑星の動きがないかどうかを丁寧に調べていくこと。マイナー・アスペクトなので、単独では、物事を引き起こさないことが多い。ただ、心理的な変化として起こる場合もある。

 

 

  4,72度・・・クインタイル

  セプタイルは、上級の学習者以外は無視してもよいが、これは、チャート解読には是非、入れておきたいアスペクトである。中級者以上は是非解読する事が望ましい。360度の天球を「5」で割って得られた度数で、5という数の持つ「コミュニケーション、軽快さ、自己宣伝、企画力、教育的」などの面が現れて来るアスペクト。これは、二つの惑星の間で、コミュニケーションが成り立つことを表していて、その惑星がある星座、室に活気を与える。上手に自己表現できるので、相手からの援助も期待できる。また、通常、その惑星が示す室、星座を通じての友情関係、信頼関係が成り立つ。友情は、兄弟や親類のような感じになりやすい。相手が自己を高く評価しすぎて、後であわてることも起きやすいが、トラブルにはなりにくい。お互いに気心が知れているので、相手がこちらの実力が見えてきても気にしないし、こちらも取り繕うとはしない関係。

 

  このアスペクトが、芸術的な方面に関係があるとする解説書があるが、それは、惑星や星座によって違い、ケース・バイ・ケースのようである。たとえば、火星と土星が関わるとビジネスに良くて、水星と木星は教育方面や外国旅行など、また、月、金星、海王星、牡牛座、天秤座、または、水の星座が関わる場合は、芸術方面での才能となる。また、ASC、太陽、月、金星とこのアスペクトが関わる人は愛らしく、話好きで、人気者が多い。「普通、見栄え」のするタイプである。いわゆるカッコいい若者もいる。

 

  例を挙げると、私の場合は、金星と冥王星が72度(Q)である。金星は1室(蠍座)、冥王星は11室(獅子座)。金星の年代頃にロックに夢中であった。つまり、金星は音楽、1室は自分の興味の対象。11室は(学校などの)友人を示し、冥王星であるから、多少、不良っぽくてアウトロー的な感覚になっていたことがうかがえる。

 

  友人のWさんは(男性)の場合は自営業であるが、瞑想や気功法をやったり、波動を測る機械を買ったり、ダウジング的なこともやる。海王星と土星がクインタイルである。海王星は10室(蠍座)で、土星は12室(山羊座)。これは、海王星の霊的な性質や見えない分野を具体的なレヴェルに下ろして肉体化したり、ビジネスに結びつけて行こうとする行為や努力がうかがえるアスペクトと言える。

 

  また、小学校の教師のSさん(女性)の場合は、木星と水星が72度で、木星は5室(蟹座)、水星は7室(天秤座)にある。つまり、教育的なセンスを持ち、子供たちとの意志の疎通が図れること、また、海外や語学などと縁があり、それを求めることなどが暗示されている。

 

  Yさん(男性)は、以前電話関係の企業でサラリーマンであったが現在はカウンセラーである。彼の場合は1室の太陽(蠍座)と10室の土星が72度、また、10室の土星と8室の天王星(蟹座)が72度。これは、前者は常識的でビジネスや社会とそれなりに縁があるということ。慎重に自分を宣伝していくことなど。また、後者は天王星の斬新な意識と手法を生かした仕事に向かう意識を示すもの。乙女座の土星の存在から見て、「人生の後半や晩年は、ヒーラー的な可能性と、それを伝える教育的才能と社会的評価、または、友人、知人からの援助があり得る」などと判断していく。

 

 4,135度・・・セスクィー・コードレート

  これは、120度と150度の中間であり、120度に15度を足したものである。つまり、120度の持つ「創造性、快適」などに15度をつけ加えて、いくつかの調整をする度数といえるかもしれない。また、90度に45度を足した数でもある。その意味でこのアスペクトの影響はやや複雑になる。このアスペクトをいくつか持つ人は二つのタイプがあるようです。一番目の人は、創造的なパワー発揮や芸術、精神性などの理解に対してある程度の限界をつくってしまい、積極的に行動しないとか、「初めから、占星学やチャネリングなどは信用出来ない」などと、自己の意識に限界をもうけてしまうようなところがあるのです。慎重なのは良いが、興味の対象が限られたり、安定することにばかりとらわれて面白味のない生活になりがちです。もう一つのタイプは、どんどん、積極的に行動することですが、これは、自我意識がまだ、荒削りな感じで、行動は意欲的ですが、洗練されてはいません。プログレッションで、このアスペクトがになる場合は、親しい人との交友、別れなどがあったり、外国人との関係なども起きやすい。また、自己の創造力や才能の限界を感じることも起きやすい。見栄っ張りな人を作るアスペクトとも言われている。ただ、中には複雑な物事を理解する特殊能力を持つ人もいます。読みにくいアスペクトのひとつでしょう。

 


  5,150度・・・インコンジャンクト

  これは、メジャー・アスペクトとすべきであるという考え方もある。私は、基本的にはマイナー的に考えて良いと思っているが、ネータルで強いメジャー・アスペクトを形成している惑星同士がプログレッション、トランシットなどでこの150度を形成した場合は、強力に作用する事もある。通常、出生図では、マイナー・アスペクトとしてとらえて行けば良いと思っている。

  この意味は、二つの惑星の長所、短所を丁寧に検証したり、チェックしながら、波動調整していくことをしめすもの。物事、人生観、言動に対する批判や批評を示す。二つの意識の間や現象に誤解などが生じやすい。部下や、先生、パートナーとの考え方や意見の調整などが起きやすい。嫉妬心とも関係があると言われている。

 

6、36度・・・デシル

さて、そうですね。松村潔氏の「占星術のシクミがわかる本」の中にこのアスペクト「Decile」のことが載ってます。「無視できない才能をあらわし、物事を改革したり明確に構築化したりするセンスに関係する」、また「精神的な事柄を具体的な形に落とし込む才腕。あるいは具体的なところから抽象的な推理力へと変換する能力」とあり、その意味では構造化に関係する。とあります。(松村先生、かってに引用してごめんなさい。)

 

発行「シャングリラ・プレス」

発売「星雲社」

今は絶版のようなので、古本屋で見つけましょう。

 

さて、このデシルというアスペクトは360度を「10と言う数で割って得られた度数」ですね。

数秘学では、この10も一種の「マスター数」ととらえています。マスター数と言うのは他の数と違い「パワーが強く個性豊かな数」なのです。ただ、そこから導き出されるアスペクトであるからと言っても占星術の方では影響力はどうかと言うと、そうですねクインタイルの方が目立ちやすいし扱いやすい(本人が自覚しやすいのじゃないかな。)やっぱりメジャー・アスペクトの影響力ほどは目立たないようですけど。

 

クインタイルの方がより動きが多く、「人間的行動力」の源泉になるように思います。こちらデシルの方は、それまで続いていたものを一段レベルアップするような力として使えるように思いますね。10という数は1と言う数に似ていますが、無限の不可思議さを秘めたゼロが一緒に付いています。ゼロは神の世界や霊的意識と通じること。そこから1と言う自己意識を創造することです。またこれは1と言う数のオクターブ上の波動と言われています。日本では昔から「十分、十全」などと言って「完成した状況」を表していますよね。そこで、1年は365日ですが、占星術は黄道の360度で判断します。それの丁度10分の1の度数ですから、一種の「悟りの度数」ともいえるようですね。よく進行度数で36度目に太陽が来たときに(満年齢35歳ころ)に精神的に大きく成長することや物事の本質が見えて来たりすることがあります。仏教では「魂を自覚する年齢」などと言われています。そういうことから、何か人生上の深い意味と関係しているようです。年齢域では、「自己確立の太陽の年代の終わるとき」ですね。ただ、微妙な波動を持つのでセプタイルと同じで普通人にはあまり自覚できにくい要素もあるようです。

 

とにかく、クインタイルのような「一般的な才能の宣伝とか、見栄えのする行動力」とは違って「より本質的に深いレベルで世界を捉える能力と判断すべき」でしょう。確かにものごとの「構造化」と関わると思います。

 

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