未来予知法

 

プログレッションとトランシットの解読法

 

1,    基本的な意識の変化と、そこから生じる現象をとらえる 

(太陽と月を中心に判断して行く・・・1日1年法を採用)

  これは、出生図をベースにして発展または進化して行こうとする意識の基本的な面をとらえるにあたっては、まず何に注目すべきかということであるが、最初に太陽のプグレッション(進行)を見ていく。これは、その人が人生の中で自己確立していく上での基本的な精神回路と性質を示すものである。基本的な精神回路というのは、ある個人が、自己あるいは自我の確立に当たってその人が必要とする性格的側面と心のより所の事で、いわゆるアイデンティティーと言えるだろう。この進行で生命力の性質や強弱も判断出来る。

 

 プログレッションで、1日1年法を採用する場合は、太陽の進行度数は1年で約1度なので、順次サビアンの度数の影響を受けて行くと解釈してよい。そして約30年で次のサイン(星座、宮)に入って行くが、サインを変更したときには、大多数の人は、人生上の何らかの転換を迎える。変更したサインの特徴が出るかどうかは、進行チャート全体の特徴を判断せねばならないので、単純にはいえない。この場合は、月のプログレッションと組み合わせて判断していくと特徴が掴みやすい。出生図の太陽は、いくら歳をとっても変わらない基本的なアイデンティティーである。ただ、人間は変化成長して行くものであり、出生図の意識回路だけでは、物事を正確に掴んだり、表現は出来ないのである。従って、出生図の太陽に、より客観的性質と広い視野を与えるものとしてこの進行を見て行くとよいだろう。進行の太陽のサインの変化は、人間は変わらないが舞台衣装が替わる事に譬えられる。従って、この世で演ずる物事に変化が生じて来るのである。当然、心理的にも変化が生じやすい。太陽のプログレッションが他の惑星とアスペクトを作る場合は、その効力は最大1年と見る。太陽の進行サビアンを読む場合は、期間は普通1年間と見てよい。

 

 次に太陽のプログレッションに重ねあわせていく様にして、月のプログレッションを見ていく。これは、太陽の進行が意識の深い所での基本的な興味の対象や心のより所を示す、いわゆる骨格的なものであるのに対し、より具体的で日常的事柄に関わるレベルで働く意識を示すものである。従って、太陽の進行が示す基本的な物事を、より具体的に展開させるエネルギーを与え方向付けするのである。太陽や月が同じサインや室を進行している時は、そのサインや室の意味は極めて強力になる。また、室やサインが異なる場合でも、太陽意識の成長を肉付けするための力の方向がどの分野であるかを見極めることが出来る訳である。二つの位置と性質が異なる場合は、意識の方向性はよりバラエティーに富み、多様な心理と現象の変化の中に自己の成長を見る事になる。太陽と月の配置によっては意識や生活状況が協調的であったり分裂的になったりする訳である。このとき、太陽と月の進行の内容が同じ様な事柄を示す場合は、それが強力に作用するが、相反する内用を示している場合は、人格的に未熟な人は、内面に矛盾を抱え、それが表面化するので、心理的にも現実的にも苦しい時期となることが多い。理想と現実の狭間で苦しんだり、男性原理と女性原理の統合に苦しんだりする。ただ、大部分の人は、対立するエネルギーに対して、適当に折り合いを付けながら取り込んでいく。意識の高い人は、難しい局面に遭遇しながらも、上手に異なるエネルギーを乗りこなし、バランスを取っていくだろう。尚、進行アスペクトは、太陽と月の場合はメジャー・アスペクト全てを判断し、時にはマイナー・アスペクトも参考すると良い。

 

 ここで、多少具体的に説明しておく。

  A、太陽が1室の天秤を進行中に月は7室の牡羊座を進行している。これは、基本的な意識が天秤座の「調和感覚」にもとずいている。このときに月が第7室であるので、自己の「美と調和、愛情、バランス」などを具体化する上で鍵を握るのが7室の牡羊座なのであるから、勝ち気で決断力が強く、開拓的精神旺盛な人とパートナーを組むなどのことが起き、優雅な天秤の意識の中にパートナーなどを通じて、原始的ではあるが、燃え上がる力強い「火の波動」と情熱が反映されてくるのである。

 

  B、太陽が3室の乙女座を進行中に月は12室の双子座を進行している場合。これは、基本的な意識は、自己や他者を客観的にとらえて細かく点検したりとか、日常的な物事を整えることに重点が置かれていて、そこから出てくる知的交流や判断力であるが、その中に12室の極めて内的なインスピレーションや潜在意識からのヴィジョンを反映させたりするなどの事が起きやすいことを示すものである。また、3室は、知的コミュニケーションであるが、他者に自己を伝えて行くときに、相手の内面の意識が自己の中に強く感じられたりする事が多くなるだろう。

 

 C、太陽が4室の牡牛座を進行中に月は11室の射手座を進行している。これは自己の所有意識や現実的なアイデンティティー、感覚的な一体感などを地域的な集合無意識や、母性的な意識の基盤的価値観に合わせ、生かそうとする太陽意識を基にして、射手座の開放的でおおらかで、また、哲学的であったり、精神的であったり、または多少熱狂的な意識を反映させ、友情を深めたり、自己の希望を達成して行こうとしているものと判断する。この場合は、基本が「地の星座」なので、自己のしっかりした経済的基盤や、肉体的に身近に感じられる心地良さとか美意識などを外国人とか哲学者とか精神世界の探求者との交流を通じて発展していこうとする意識と行動表現を示すものである。月は、「火の星座」なので友情は激しく燃え上がり、強固なものとなるかもしれない。また、外国や遠方に強い興味が増してくるだろう。このチャートでは太陽は牡牛座で4室であるから、月の星座の力(射手座の強力な火の波動)に翻弄されるかもしれない。つまり、理性と感情のぶつかり合いなどや、現実と理想の食い違いなども感じられるだろう。もし、進行中の月が金星などとアスペクトを形成する場合は、男性側から見て、この月を女性と捉えると、なかなか行動的でコントロールしにくいが、明朗でオープンな性格の女性との恋愛関係が生じる時期などとも読めるだろう。尚、月のディレクションは通常、効力は半月から1ヶ月と見てよい。進行中のサビアンもほぼ同じである。太陽のサビアンの進行は深いレベルの意識、自己表現のあり方、創造的意識、心のより所の変化を、月の進行サビアンは感情的レベル、日常的で身近な事柄、ペルソナ的意識、女性原理の表現の流動、変化を表す。

 

  2、他の惑星のプログレッション     

 これは、水星や金星、それから火星を主に使う。木星から外側の惑星は動きが遅いので、1日1年法のディレクションはあまり使用しない。ただ、外側の惑星でも、進行している土星や天王星などが、ネータルの惑星と合になる場合は、動きが遅いだけに長期に渡り影響を与える事もあるので、これらの惑星の場合は、合のみを考慮する。水星、金星、火星の進行も基本的には合のみを見て行けばよいと思われる。

 他の惑星の進行は、太陽と月の進行を補完するものである。したがって、単独では現象を引き起こす事は少ない。太陽と月の進行の意味合いをより具体的に展開していくものである。さて、太陽や、月がディレクションを作っているときに、水星や金星などがまたディレクションを形成する場合は、太陽や月の星座、室の事柄を補完する出来事として捉える。それも、特別な場合を除いてネータルの惑星に合になる場合のみを判断すれば良いだろう。

 上記のCの場合のチャートに付け加えて、水星が3室の牡羊座を進行している場合で、そこにあるネータルの木星に合になるなどという場合は、前記の状況にさらに知的な意味での活気が付け加えられ、コミュニケーション能力や多面的価値判断力に磨きがかかるだろう。現実的には、旅行が多くなったり、電話代がかさんだり、語学を学んだりするようになるだろう。また、この進行チャートの中で、進行した金星が、出生図の5室の双子座の火星と合になるなどが起きた場合は、前記の事柄に付け加えて、自己の金星的美意識が火星を通じて表現され、5室なので創造的な力が加速され、双子座なので、知的に軽快に表現されるだろう。また、性急な恋愛につながることも起きるだろう。これが、太陽進行が牡牛座の4室、月の進行が射手座の11室、水星の進行が牡羊座の3室で木星と合、金星の進行が双子座の5室で出生図の火星と合のチャートのふつうの解釈の仕方である

尚、水星や金星などの惑星の進行が与える影響の期間は、逆行や、留などがあるために不定である。進行サビアンでは、水星は頭脳活動、物事の認識や判断、金星は美意識、愛情、アニマ、火星は行動力や性エネルギー、アニムスの表現や変化と見なす。

 

 3,ASCとMCのプログレッション(1日1年法を用いる

  まず、ASCとMCの進行のさせ方にはいくつかの種類があるので混乱しない様に。アストロロジーの本やパソコンのソフトでは研究者の為に様々な方法が紹介されている様である。研究書によっては進行のスタイルが異なる場合があるので、学習者はその点を注意すること。私が主に使用しているソーラー・ファイヤー3の進行図では、ASCとMCの進行のさせ方は、恒星時は1日に約4分進むので、進行する年齢に合わせて恒星時を増やして計算する方式である。つまり、1日1年法では、半年分は恒星時では2分に相当し、3ヶ月に相当するのは約1分、30秒は大体1ヶ月と15日に相当する。これはよく用いられている方式で、出生図を作成した時に用いた恒星時に進行した日にちの恒星時を足して計算されたものである。他の方法でよく使用されるのは、進行した太陽の度数をMCに足して、そのMCの度数からASCを導き出すという方式である。この二つの方法が一番よく使用されている。二つ覚えておけば十分であろうと思いますが、学習者はまず、最初に紹介した方式をマスターしてください。ASCとMCの進行は太陽と月の進行の次に大きな影響があるのでしっかり判断すること。影響する期間は通常半年から1年間である。

 

 進行したASCは、自己表現の場としての意識の変化であり、これがサインを変更するときに、その人の雰囲気やイメージに変化が現れる事がある。MCの方は、自己の社会に対するイメージに変化が起きてくる。どちらもネータルの惑星に対して合のみを見て判断していく。そして、惑星やノードなどの敏感点に合になるときに強い影響力を与える。

 さて次に、このポイントのみならず、進行したDESCやICが惑星に合になるときにも強い影響があるので考慮する事。これもディレクションのアスペクトは合のみを重視する。そして、この進行したDESCはパートナーとの関係とか、自己の鏡になる存在の変化、またはその様な存在への自己イメージの投影の状況を表す。進行したICは、自己の存在の基盤や地域的な集合意識への同調感覚とか、内的な心のより所に変化を与える。

 

 4,進行した惑星同士のディレクション 

 進行法の解釈で1番重要なのは、出生図の惑星に対する進行惑星のディレクションである。通常あまり重視されていないが、進行している惑星同士で作るディレクションも意味を持つ。これは、出生図に対するディレクションと異なり、進行中の惑星同士が作るものであるから影響力が強いとは言えない。つまり、一生変わらない基盤の位置としての出生図に対するディレクションが、自分の家や職場など常時留まっている場で起きる出来事に譬えられるのに対して、これは旅行中に起こる物事に譬えられるだろう。つまり、現象としては、流動的であり、変化しつつある意識や現象の中でまた新たに出来事が起きる様なものである。事実、私が調べた範囲では、この進行中の惑星同士のディレクションは、旅行中の出来事とか、流動的な場面の中に起きる出来事であった。心理的に見ても一時的にわき起こる考えや直感であり、このディレクションの時に考えた事や、約束は流動的で変化しやすい。このディレクションは、初心者は無視しても良いが、段々と判断に入れておくと良い。そうすれば、心理的な変化でも具体的な出来事でも、ものごとの微妙な綾や変化をつかむことが出来るからである。このディレクションは、通常は合とオポジションのみを採用する。そして、その中でもっとも重要なのは、進行中の太陽と月が作るディレクションでの新月と満月である。つまり、太陽と月の合とオポジションである。出生図に対するディレクションではなく、二つとも進行中のものであることが違うわけである。これは、新月の場合は、それが起きる室やサインを強調する出来事が起きやすいと言うことである。また、新しい出来事を開始することと、その具体的な内容を示すものである。

 

 たとえば3室で射手座に進行中の太陽と月が合になった場合は、心理的に開放的になり、身近な友人や親戚との交流が盛んになるだろう。また、コミュニケーション能力が高まったり、外国人との付き合いが始まったりするだろう。また、現実世界を狭い実利主義と主観的価値観に取り込まれず、客観的立場から捉える心理的な余裕と判断力が増してくることもあるだろう。哲学的な探求が始まったりするだろうが、3室なので、ほとんどは、身近な出来事や人間関係を通じての出来事から学ぶようになるかもしれない。

  また、11室の獅子座に進行中の太陽があり、5室の水瓶座に進行中の月が来てオポジションつまり満月となった場合は、どうかと言うと、この時に11室と5室の状況が非常に強調されるだろう。通常、芸術家には良い時期で、自己の希望と創造性は高まり、ユニークな作品を創れるだろう。水瓶座の月なので、時代の先端を行くものかもしれない。

 また、満月は、生命力は高めるので子供が出来やすい年齢の人には、妊娠や出産が考えられる。どの様な子供で、楽な出産になるか難産になりやすいかなどは、出生図や進行図、またトランシットなどを総合的に判断する必要がある。

 

 進行しているもの同士のディレクションは、他の惑星の場合もも、合とオポジションを見て判断していく。合は、惑星同士の力を強め、それが、その進行中のサインと室を強めて刺激する。オポジションはその室とサインの両方の性質のバランスを取ったり、一方が片方の力を飲み込んだりする。上手に自己の鏡として取り込みバランスがとれるかどうかは何とも言えない。これもチャート全体を見なくてはならない。

 

  なお、上記に採用した1日1年法のプログレッションは、通常セコンダリー・プログレッション(またはセコンダリー・ディレクション)=二次式と呼ばれている。

 ちなみに一次式というのは、地球の一度の回転が一年に相当すると言う考え方で、これは、1度1年法と呼ばれている。一般には、あまり用いられていない方式であるが、これは、世俗的な出来事の予知には役立つものとして、占星家に用いられているものである。

 

 通常、プログレッションの影響力は1度以内のアスペクトを形成した時であるが、正確には30分前(1度の半分ほど前のところ)に進行惑星が来た時からはっきりした影響が出て来る様である。一般に、正確なアスペクトを形成した時が現象のピークであると説明する人が多いのですが、私の今までの経験では、正確なディレクションを作る直前に意識や現実面での影響の最大値が来る様に感じることが多かった。そして、正確なディレクションを作る時には、影響は弱まり始める事が多かった。(ただ、例外もあり、正確なアスペクト形成後にピークを迎えた事もある。)各自、データを沢山取って検証して頂きたい。

 

 5、ソーラー・アーク・ディレクションについて

  これは、1日1年法に次いでよく使用されている方式であり、プロを目指す方や、上級のレベルを目指す学習者には是非、覚えてもらいたい方法である。これは、1日1年法と基本的な考え方は同じであるが、それで導き出された太陽の進行度数(つまりソーラー・アーク)は他の全ての惑星の波動に同じ様に影響を与えているという考え方で、この進行したアークを他の惑星の出生図の度数に足していく方式である。出生図の中で、太陽系の中心的意識である太陽が進行した分だけ、他の惑星の波動の敏感点にも同じ度数だけ共鳴する反応が起き、そのポイントを増やして行くという考え方である。さて、この方法は、計算も簡単であり、また、パソコンのソフトにもたいてい入っていることが多いので、学習者は簡単にチャートの作成が出来る様になった。

 

このチャートで注目すべきは、当然の事ながら、動きの遅い木星から外の惑星である。

そして、月や水星、金星、火星などはあまり重視されない事が多い。基本的には、私もあまり注目する必要はないと考えている。したがってこの方式は、基本的には遠方の惑星の動きに重きを置いたプログレッションであると考えても良いだろう。この方式の判断の時によく頭に入れておくべき事は、これは太陽のアークが他の惑星に反映しているものであるから、太陽意識と何らかの共鳴現象を起こしつつ作用するものと考えるのが妥当である。つまり、このディレクションを通じてその人のアイデンティティーのあり方や自我の確立、または生命力の状態、自己表現や創造力に強く影響が出るということである。そして、何か大きな「気付き」をもたらす時期が来た事を教えるのである。この方式においても注目すべきは、通常は、進行した惑星がネータルの中の惑星やASC、ノードなどの敏感点に来る時であり、合を特に重視する。他のアスペクトは、普通は使用しない事が多い。(私も、合のみを見て判断すれば充分だと思っている。)

 

進行した惑星が、ネータルの惑星に合になるときは、(他の方式も同じであるが)、その進行した惑星が、ネータルの惑星を通じて力が発揮され、あるいは、個性化され現象化したり、心理面で大きく作用し、自己確立のあり方や価値観形成に大きな影響を与える。このディレクションで一番強く作用するのは、進行した惑星が、太陽、月、ASC、MCに対して合になるときである。また、進行する惑星が、ネータルで1室や10室の支配星であったり、ネータルでアングルにある惑星の場合は影響力が強く出る様である。それから、進行した惑星が水星や金星などの動きの速い惑星であったり、水星や金星に対して進行した惑星が合になる場合は、注目しなくて良いかというとそうでもない。今までの私の体験では、かなり強い影響が出る場合があるので注意する事。この場合、目安とすべきは、年齢域を頭に入れておくこと。つまり、金星の年代の時期に、金星に関わるソーラー・アーク・ディレクションが生じた場合は影響力が強く出る事が多いのである。他の年齢域の場合は、やや影響力が落ちる様である。その辺は、ディレクションを作る惑星同士の年齢域や、チャート全体を見ながら判断すること。また、1日1年法のディレクションとも組み合わせて判断すること。進行図で、二次式のディレクションで出て来た内容とソーラー・アーク・ディレクションで出てきた内容が一致する様な時期は、その内容が強力に作用すると判断してよい。相反する傾向が出ている場合は、二次式(またはソーラーアークの方の)の影響を減少させたり、適当に中和したり、バランスを取って行くものと判断する。

 

私の個人的体験では、出生図で1室にあった蠍座の金星にソーラー・アークの海王星が合になった時があった。金星は、私の1室の支配星であった。これが起きたのは14歳の時であった。出生図の海王星は1室で天秤座だった。ちょうどグループ・サウンズの全盛時代で、急に音楽が好きになり、ビートルズなどにも夢中になって行った。これは、海王星の感受性が金星を通じて発現したものである。次に出生図では10室の蟹座にあった天王星が、31歳の時にソーラー・アークで、11室の獅子座の冥王星に会合した。天王星は出生図ではMCともほぼ合であった。この時期は母が病気で手術したり、自分自身も財政的に不安定な時期であったが、瞑想に関しては情熱的な時期だったので、思い切って瞑想家のY先生の指導する奈良県の天川での5日間の瞑想と霊山の登山の合宿に参加した。また、その後、和歌山県の高野山を巡礼したりして、内面を深く見つめ、魂を浄化する事が出来た。また、その合宿ではその後の私に大きな影響を与えた素晴らしい友人にも出会うことが出来た。その様に天王星と冥王星の影響を獅子座の11室を通して強く感じながら人生の中での自己確立の重要な時期を経験する事が出来た訳である。31歳であるから、年代的には、太陽の支配する年齢だったので強く影響を感じたのかもしれない。

 

 6、トランシットについて

 イ、トランシットの基本的特徴

トランシットは、プログレッションの様に象徴的な方法ではなく、判断をすべき時期のその時点での惑星位置からチャートを読みとるものである。アストロロジーの研究家の中には、1日1年法などのプログレッションは現実のその時点での星の動きではない象徴的な方法なので非科学的であるとして重視しない人もいる。したがって、トランシットのみを見て判断している人も結構いる様である。つまり、出生図に対するトランシット惑星との対比によるアスペクトのみを重視しているわけである。私の場合は、経験上プログレッションは、象徴的な考え方ではあるが、実際的には十分使用出来得る理論であると考えているので、トランシットのみを判断するのは片手落ちであると考えている。出生図に対して、プログレッションとトランシットを両面から見ていくのがもっとも良い方法であると思っている。

 

 さて、プログレッションは自己の体内時計の様なものであり、(大部分の方式は)生まれてからまもなくの時期に、宇宙のアストラル界より刷り込まれた運命の青写真の様なものである。そして、これは、進行した太陽と月、また、ASCとMCが特に重要である。それらをベースにして意識の展開がなされようとしている訳であるが、これは、自己の無意識に取り込まれているプログラムの展開図といえる。通常、このチャートから感じられるものは、自己の内面から外面に湧き出そうとしている心理的エネルギーの様に見える。これは、現実界に現象化する事もあるが、心理的な変化で終わる場合もある。この進行チャートからの影響力による行動は内発的であるというのが特徴的である。(自分の内心から物事を起こすと言うこと。)ただ、無意識層から来る促しなので、自分が何をやっているのかが自覚出来にくい面もある。たとえば進行した月が火星にスクウエアなどの場合は、穏やかな人が急に落ち着きがなくなったり、怒りっぽくなったりするのである。その原因を本人は突き止めにくいのである。それに対してトランシットは、その時期に存在する集合意識を象徴する惑星群の影響力からの促しである為に、外的な客観的状況から出生図の惑星に働きかけて来る事が多いのである。したがって、プログレッションとトランシットの基本的な相違点としてとの一つの目安は、内面から外面へのエネルギーの働きとしてはプログレッションの方で、外的状況から内面への働きかけをトランシットの方と覚えておけば良いだろう。ただ、これは、その都度、人によって、状況によって、時期によって違うので絶対的に公式化出来るものではない。時には、トランシットが心理的な面にのみに作用する事もある訳である。ただ、多くの場合はトランシットは、人間関係や客観的な状況を伴って影響が現れるので、チャートの判断もやりやすいと言う面がある。また、惑星の影響を受ける本人も自覚して行動しやすいと言えるかもしれない。アストロロジーの進行やトランシットの惑星による影響で、その時期に心理的に傷ついたり、癒されたり、また何かの大きな気付きや成長がもたらされたりする事が屡々あるが、それを単純に心理学のトラウマ(精神外傷)の形成とか、心理的な補償とか、アイデンティティーの確立などと関連付けてとらえるのは無理がある場合があるので、特に心理学の方面に詳しい学習者は早合点しないで慎重に捉えて行って欲しい。アストロロジーは、あくまでも惑星波動と個人の霊的センターは、波動的にも物理的にもつながっているという立場にあり、太陽系や銀系全体の宇宙意識の発達の中の一環として個人の意識の成長も組み込まれていると言う秘教的な考え方に依っているのである。そして個人の意識の基本図である出生図も、偶然、その日その時に生まれて来るのではなく、前世からのカルマに依って霊的に正確に計算されているという考え方なのである。そして惑星の波動が人間という小宇宙に影響するだけでなく、小宇宙の側の意識の有り様や行動が逆に惑星に対しても働きかけるという考えなのでである。したがって、全ての存在に波動的な意識を認め、それが相互に関連し合って成長、進化(退化)するという考え方なのである。全宇宙的な包括的で、尚かつ前世や輪廻転生などを考慮した密教的な世界観を持っているのである。したがって、心理学との相似点や共通点は多いが、安易に現在の心理学的な学説やセオリーの中にアストロロジーの理論を収束させて説明するということは、人間の持つ、本質的な「魂の科学の研究」と言うアストロロジーの基本テーマから見ると問題を残してしまうと言えるのである。したがって、短絡的思考で安易に特定の心理学や哲学の学派の理論に偏った解釈をしていてはいけないのである。アストロロジーは広大無辺な科学なのであるから、地道に少しずつ大局的な見地から学習していくことが望ましいのである。

 

  ロ、トランシットの具体的な影響パターン

  まず、注目すべ点を以下、列挙すると次の様になる。

 

A、どの惑星でも出生図のアングルにある惑星のトランシットは強力であると捉える。

 

B、トランシットの惑星が強力に働くのは、太陽や月、ASCやMC、またはその支配星である。そのときその惑星が、太陽、月などと出生図の中で強力なアスペクトを形成している場合は、なお強力に作用する。

 

C、トランシットは、地球の外側を周っている惑星(外惑星)が重要視されるが、その中でも特に木星と土星が重要で、また、最もはっきり影響力が出やすい。

 

D、天王星から外側の惑星は個人よりも全体的な集合的な意識(または集合的無意識)に関わっている場合が多い。ただ、出生図でこれらが強調されている人は強力に作用する場合もある。

 

E、新月、または満月は太陽と月の特殊なトランシットであるが、これは、新月の場合は、次の新月までの約29.5日間の影響が出ると捉える。満月は、次の新月までの約2週間の影響と見る。通常、出来事が起きるパターンは、新月や満月の時に出生図に対して起きたアスペクトはその日にはすぐには感じられず、新月の場合は徐々に盛り上がって来て、満月の時に影響力がピ−クになる。そして段々弱まって次の新月までに収束する事が多いのである。一般的には、新月は現実的な事柄に影響し、満月は精神的な事柄に影響すると言われているが、恋愛問題や妊娠とか、種まきなどの生殖作用は、満月の方がむしろ強力である。また、芸術的なインスピレーションなども満月の方がよく起きる様である。ビジネスや職業に関すること、土木建築、移転などの外的現象を伴う出来事は、通常は新月の方が強力である。出生図で月が6室にある人は敏感で、新月、満月の時に体調を崩しやすいと言われている。また、どこの民族でも新月の日に新しい出来事に着手する事が昔からよく行われて来たし、結婚式などのお祝い事やお祭りは満月を選ぶ習慣が世界各地共通にある。これは、アストロロジーの観点からもうなずける事が多いことである。

 

F、太陽のトランシットの影響力は通常1,2日である。ネータルの敏感点を刺激するが影響力はさほど強くない。太陽のトランシットがASCを通る時は、新しい物事が起きやすい。これは毎年やって来るので、学習の開始やイメージ・チェンジに使える。学習者は各自、太陽が毎年何月にどこの室を通るか覚えておくと便利である。

 

G、月のトランシットは、普通はほとんど用いられない。運勢の鑑定では、鑑定を以来された時刻のチャートを作成し、使用する占いのひとつ形式である「ホラリー占星学」では月のトランシットを重視し、行方不明の人の捜索や失せ物の有り場所の判定、結婚や移転などの物事の是非を判断したりする。普通は月のトランシットは、心理占星学ではほとんど使われないものであり、特別な場合を除いては無視しても差し支えないのであるが、一つだけ挙げておくと、トランシットする月がいる室は多少影響するので、頭に入れておくと良い。たとえば、天秤座の3室を月がトランシットした場合は、急に異性の友人に電話したくなったりするかもしれない。また、月が10室の射手座をトランシット中に、法律に詳しい外国人と仕事で一緒になる事もあるだろう。つまり、影響する期間は短いが、日常生活の出来事にさらっ現れて来る現象を示すことが多い。恋人にデートを申し込むのであれば、出来るならば5室や7室を月がトランシットするときにした方が良いだろう。また、就職の活動は、2室、6室、または10室を月がトランシットするときに有利な事が起きるかもしれない。上記の事柄が強い影響力を持つかどうかは、出生図の惑星とのアスペクトや、進行図、トランシット全体の状況を見なければ何とも判定出来ない。

 

H、動きの速い惑星のトランシットについて見て行くと、水星、金星、火星は動きが速く、通常はあまり重視されない。ただ、火星は時として、重大な出来事を引き起こしている様である。通常、これらの惑星は、アスペクトはコンジャンクション(合)のみを見る。ただ、火星は時にはオポジションも見る必要がある。

 

I、トランシットは、正確なアスペクトを形成した後から2,3度過ぎたところまで影響する。したがって、動きの遅い惑星ほど影響する期間は長い。また、動きの速い惑星でも逆行や留があるので、影響する期間はその都度判断すること。ドラゴン・ヘッド(ノース・ノード)とその反対のドラゴン・テール(サウス・ノード)のトランシットは、惑星と動き方が反対なので、正確なアスペクトを形成する前の時期から影響力が現れると見る。つまり、度数が少し多くても影響力が感じられて来るのである。

 

J、客観的な現象をもたらす火星、木星、土星は現実的で具体的な事柄を判断する時に特に重要である。トランシットする火星は、その室とサインを刺激し意味を強める。火星は、主観的エネルギーを客観的エネルギーに変えて行く初期の荒々しい力であるために、その影響を受けた惑星の働きはやや衝動的で不安定である。ただ、勢いが付く。また、トランシットする木星もその室、サインに影響する。通常、前世からの良い力を意味する木星は、そのカルマに応じて、そのサインと室に喜びと成長するパワーを与える。木星は、良いことばかりではなくカルマを新たに形成する力をも与えてしまうので注意が必要である。通常、このトランシットは、内的な主観的意識を客観世界に多様に反映させることが出来たり、多面的に外的世界の物事を判断する力を与えるものである。大きな視野が広がって来るので、その室とサインを通じて魂を成長、拡大させるチャンスの時期であると言えよう。それから、土星も、トランシットするサインと室を強調する。これは、主観的意識を具体的に結晶化するパワーであるが、強力にその室、サインのエネルギーに働きかける。土星を上手く乗りこなせない人や、年齢的にそこまで至っていない人は、土星の力を乗りこなせず、力を持て余してしまう。それは、単順にその部分を具象化する力ではないのである。力と意識伴わない人に取っては、逆にその室やサインの物事をそぎ落とされる様な事が起きて来るのである。そこから、伝統的な星占いの「土星は不幸の星」という考え方が生まれてきた訳である。土星は、物質化のピークの星であるとともに、非物質化が始まる星でもある。したがって、この惑星のトランシットは、なかなか読みにくいと言える。

 

 土星の働きは、「メビウスの輪」の様なものに譬えられる。つまり、精神的で霊的エネルギーと物質的で現実的なエネルギーの両方が8の字型に相互にエネルギーの交換をしているものと捉えられるのである。したがって、単純に物質的パワーを与えてくれるだけではなく、それを奪って反対の方向に引っ張るエネルギーとして働く事もあるわけです。さて、ここで一つの疑問が生じるかもしれない。反対の室の方に力が移るとはどういうことか?と言うことですが、これは、意識的にレベルの高い人に時々起こる事で、表面的には、土星のトランシットしている室やサインの力が減少して活動が低下しているように見えるだが、実は、反対の室やサインの方に霊的エネルギーが高度に結晶化している事が起きるのです。占星学者で瞑想指導家のY先生の場合は、1969年の11月にインド旅行に出かけ、1970年の時点で木星は9室をトランシットし、土星は3室をトランシットしていた。彼はその時、インド、ネパールでラージャ・ヨーガを修行していた。3室を土星が運行しているので、通常の会話や通信は少なくなった。9室の木星運行なので霊的な問題を探求するのには良い時期であった。彼は、1970年のクリスマスの夜に、ネパールの安ホテルで高次の神秘体験をする事が出来た。これは、木星のトランシットと共に、土星のトランシットした室の反対側に精神的エネルギーが集中した分かりやすい例と言える。このように精神的なレベルの高い人や、目に見える世界だけに意識がとらわれていない人に取っては、この様なパターンで土星のトランシットを受けとめる事が時々起きるのである。つまり、判断の時に相手の精神的なレベルをよく掴まえてからアドヴァイスすること。土星の場合は特にそれが必要である。また、土星のトランシットは、通常はサターン・リターンまでの時期は、そのエネルギーを上手に掴まえたり表現することは難しいように思われる。したがって、このトランシットによって、若いうちは何らかの被害や損失を被る様な事が起きやすいのであるが、チャート全体を注意深く見ていくと、その時期にトランシットする反対側のサインと室にエネルギーが蓄えられていることがよくあるのである。したがって、その人は、その時期には表面的には苦しい時期を過ごしても、ある時期に反対側のサインと室に蓄えられた精神的な力を発見し、使えるようになる事も起きるのである。その蓄えられた力が何時発現するかは、チャート全体の状況、進行やトランシットの全体的な流れを見ないと判断できない。この様に土星のトランシットは、多様な側面を持つのである。なお、全ての人に共通して言えることだが、誰でも29歳と5ヶ月の頃、「サターン・リターン」という土星の回帰現象を迎える。これは、出生図の土星のところにトランシットの土星が戻ってきて会合する事であるが、この時期に今生で結晶化するテーマが明確になったり、前世からの自己のカルマが意識されたりする重要な時期である。大概の人は落ち着いて来て、気持ちは現実的になるとともに、大人びてしっかりして来る。

 

 K、天王星、海王星、冥王星のトランシット・・・これは、出生図でこれらの惑星が重要なポイントにある人には強く影響する。つまり、ネータルで太陽や月、ASC.やMC.に強いアスペクトを持っているとか、アングルにあるなどの場合である。このトランシットを強く感じられる人は集合的な意識と同調しながら、個人の意識を形成している人であるが、最近はこのタイプの人も若い人を中心にかなりの数に上っているように見受けられる。基本的には、魂の深い意識を現実の生活の中にどの様に生かして行くのかと言うことを教える惑星である。天王星は公転周期84年なので、チャートの中でも、ネータルの位置に来るまで84年かかる。したがって、この「天王星リターン」を体験できる人は少数派と言える。ただ、この天王星は、ほぼ7年で一つのサインをトランシットし、21年で出生図の天王星にスクウェアになり28年でトラインとなる。また、42年でほぼ反対の位置に来る。したがって、この天王星意識に感応しやすい人は、これらの時期にこの天王星の性質を乗りこなすように意識化すれば良い訳である。次に海王星は、公転周期164年なので、出生図に対する60度が28年後で、スクウェアが42年後、トラインはほぼ56年後である。したがって、この二つの惑星のトランシットの共通してほぼ同じ時期に影響する年齢である28歳とか42歳頃が重要な時期になる。冥王星は公転周期248年で、なお、かなり極端な楕円軌道なので、一つのサインに留まる期間が一定していない。したがって、何歳の時にどうとかと言うことは難しいので、チャートごとに判断する。

 

 L、ドラゴン・ヘッドのトランシットは、影響力もかなりあるので私は重視している。これは、特に運勢鑑定では重要で、多くの政治家や芸能人は、このドラゴン・ヘッドのトランシットが、ASCとか太陽に合になった時に大統領に当選するとか、歌がヒットしている様である。ビル・クリントン大統領は、女性問題で窮地に立たされたが、1998年の11月の中間選挙では、トランシットするドラゴン・ヘッドは11室の太陽に会合し、彼の所属する民主党も議会でまずまずの成績を収める事になった。(これを書いているのが選挙の直後なので、大統領の弾劾問題がどの様に展開するかは、予断を許さないところであるが、選挙の現状から見ると、大統領は弾劾されずに済みそうな雰囲気になってきた様である。)次のサンプルを挙げると、俳優の西田敏行氏はASC.が双子座の8度であるが、1984年の春にトランシットのドラゴン・ヘッドがここに会合した時に俳優としての人気が上昇した。また、1988年の秋にMC.にドラゴン・ヘッドが会合した。MC.は魚座の8度である。その頃は映画「釣り馬鹿日誌」などもヒットし、芸能人として不動の地位を占める様になった。この様に、人気が維持されたり、上昇したり、より良い人間関係が構築されることが多いのである。意識のレベルの高い人は、この時期に精神的な導師に出会ったり、眼に見えない世界(霊界、神界、宇宙人など)と交流したりすることが起きるだろう。このトランシットの基本的な意味は、自己のイマジネーションや願望を人的交流やチャネリングなどの意識的交流を通じて具体的世界に投影する事への欲求と可能性を示すもので、それが実現しやすい時期であると言える。

 

 反対のドラゴン・テールのトランシット関してであるが、通常は、不運をもたらす事が多いと言われている。人にだまされたり、不良と付き合ったりなどの良くない人間関係や、悪因縁をもたらす、などとまで言う人もいるが、これは、基本的な意味は、人間関係や霊的世界との交流を通じて、アスペクトを作る惑星の働きのある部分とか全体を消去したり、非物質化したりする事で、その惑星の基盤を確かに揺るがす様な働きをする事がある。これらの事から、占い的な浅いレベルで捉えている研究家に取っては、「テールのトランシットは良くない出来事を起こす」と考えたのであろう。これは、気象現象の台風の様な存在と考えて良いだろう。つまり、台風も地球全体から見ると生命現象で、一種の浄化作用である。したがってこのトランシットは、惑星や、その存在するサインや室を浄化する働きがあるわけで、そこにゴミを溜めていなければ別に問題は無いのである。むしろ、今まで重荷になっていた人間関係が収束する様な事になったりして、解放されることもあるのである。事実、R・レーガン氏はこのテールが太陽に合の時に大統領に当選した。また、ヘッドもテールも瞑想的直感を刺激する事が多い。したがってこの解釈は単純に肯定的とか否定的とか、良い悪いで捉えてはいけない。通常、ヘッドもテールもどちらも葬式や仏事に関係することは多い。また、このトランシットは、どちらも惑星に対しては合のみを見て判断する。

 

  M、ASCとMCのトランシット・・・これは、心理占星学では、通常は用いられない。

開運占星学において、物事の契約や飛行機の出発時刻などにこの位置を使って、運気を高めようとする場合のみに使用されると言う事を知っておけば十分である。

 

 N、プログレッションしている惑星に対するトランシット・・・これは、アスペクトは合のみを見て行く。通常、太陽と月、ASCとMCの進行に対してトランシット惑星が合のアスペクトを形成したと時だけ使用すること。一番影響が大きいのは、進行している太陽に対するトランシットの合である。これは、出生図で太陽と大アスペクトなどを形成している惑星ほど影響が強く感じられる。

 

 O、トランシットの影響が室などに与える影響・・・これは、惑星の周期によって期間は異なるのだが、その惑星が運行する室は、その惑星の性質を大きく受ける訳である。さて、室の説明は、細かく具体的になるので、その前に少し大まかな方法を説明する。これは、幾何学などで使う象限という考え方を使用するクオードラント(Quadrants)と言う考え方がある。つまり出生図を4分割して、そこを惑星がトランシットするときに、その大まかな特徴が出てくると言うことである。以下、それを説明していく。これは、トランシットの解釈では是非必要な知識なので、確実に頭に入れておくこと。

第1クオードラントは1室(つまりASC.)から3室の最後まで(またはIC.)まで。

第2クオードラントは4室(またはIC.から)6室の最後(つまりDESC.)まで。

第3クオードラントは7室(つまりDESC.)から9室の最後(またはMC.)まで

第4クオードラントは10室(またはMC.)から12室の最後(つまりASC.)まで

 

 以上の様にチャートは4分割される。さて、第1クオードラント(1室,2室,3室)を惑星がトランシットするときは、基本的なテーマの学習と足固めの時期と捉える。特にASC.に合になるとか、1室に惑星が入ったばかりは、興味の対象が新しくなり、自己の結晶化するべき事柄に新たに付け加える事が出て来たり、生活のパターンに全く新しい局面が出て来たりする。また、何かを始めても、基礎的なテストの段階である。自己というイメージに少し気付き始め、それを確立するために模索する時期と言えるだろう。

 

 第2クオードラント(4室,5室,6室)を惑星がトランシットするときは、第1で新しく興味の対象となったり、学習してきた事柄を身近な環境の中で発表したり、まだ、荒削りながら創造的な分野に生かして行く段階である。この時期は、感情的に同調できる仲間との関わりが重要である。まだ、創造的な力の発現ととしては、まだ甘い面が多々あるが、身近なところにいる気の合った仲間の中ではかなり力を発揮出来るし評価されることもある。この時期の最後になると、このエネルギーをより客観化して広く受け入れられるように洗練化しようとする衝動が強まるだろう。第1で気付いた自己のイメージを、感情的に同調できる身近な集合的意識に同調しつつ発現しようとする時期と言える。

 

 第3クオードラント(7室,室,9室)を惑星がトランシットするとき。その惑星が特にDESC.に合になり、7室に惑星が入る時には心理的にも現実的にも大きな変化を感じることが多い。物事を大きく客観的に見なければならず、社会の大きさを実感するときである。第1と第2の時期に培って来た力が、本当の意味で使いものになるのかどうかは

この時期にはっきりして来るだろう。個人的な面より社会的な活動が活発になり、全体の中で自己がどの様な位置にあるかの判断が出来る時となるだろう。個人的にも社会的にもパートナーや協力者との間で色々な事が起きるだろう。惑星がMC.近着くに従って、社会的な活動はより活発になるだろう。また、様々な理想に燃える様になる。第1で気付いた自己イメージと能力は、第2の自己の基盤となる集合的意識世界の中で成長する事が出来たが、それを明確に自己の鏡となる客観的世界に映し出して評価する時期になって来る。

 

 第4クオードラント(10室、11室、12室)を惑星がトランシットする時は、特にMC.にトランシットの惑星が合になるとき、その人の理想イメージは最大になり、社会的に自己表現していくことにエネルギーを注ぐ事になるだろう。正当に努力して来た人に取っては、特に職業的な面で実った果実の収穫の時期となるだろう。また、研究して来た成果などに対する評価が与えられる時期となる。スピリチュアルな面から見ると、霊的な位階を上昇することが出来たり、守護天使が変わる時期でもある。自己の主観的エネルギー(マインド・パワー)が速やかに現象化出来るようになったりする。この様に、第3で客観的に評価された自己のイメージ投影と能力は、この第4で具象化のピークを迎えるのである。そしてその力は、トランシット惑星がASC.に向かうに連れて徐々に減少し、次の新たな創造エネルギーと自己イメージへと変換されて行くのである。

 

        

クオードラント(4分割チャートの考え方)

 

   

 


第1クオードラント

左下

 

第2クオードラント

右下

 

第3クオードラント

右上

 

第4クオードラント

左上

 

                                                       

 

トランシットの場合、各惑星の影響は、例えば以下のようになる。

 

火星は、それぞれのクオードラントを刺激、活性化する。

木星は、それぞれのクオードラントに力を与えて膨張させる。

土星は、それぞれのクオードラントを具体的に結晶化させる。

 

*注 上記の4分割は、出生図においても基本的な意味は同じであるが、意識の成長度合いがトランシット惑星の運行を見ていくことによって、よりすっきりと理解しやすくなる。

 

 7、出生図、・進行図・トランシットの3重円の総合的解釈

  出生図は、個人の前世から受け継いだエネルギーとその可能性であり、基本的なアイデンティティーである。進行はその展開図であり、心理的な傾向と運命の青写真である。またトランシットは、その特定時期における惑星の集合的意識からの働きかけである。ここで一番強いものは出生図に現れた特徴であり、一生影響する基本的な力です。他の二つはそれを発現する為の刺激剤と言うことも出来る。ですから、出生図に示された傾向を進行とトランシットがどの様に引き出して行くかを注意深く見ていく必要があるわけです。

 さて、進行は、自己の内面に刷り込まれた霊的な波動であり、人生の基本的なプログラムであり、主観的意識から客観的世界へのイメージの投影である。トランシットは、進行ディレクションの力が確実に客観世界に投影されているかどうかを確かめる機会を与えるものであると言えよう。出生図は、動かない不動の基本図である。これに動きを加えると言うことはどういうことであるかと言うと、惑星が螺旋運動や回転運動をする事によって、生命エネルギーが転換したり、進化するのである。これは、神秘学でも、最近の生物学でも共通した事が多く発見されているのである。DNAの螺旋構造などは典型的な例であろう。プログレッションにより意識の内面に生じるエネルギーを発現始動させ、外面に投影する力に変えて行く。それを客観世界において確認、認識するのがトランシットなのである。そしてトランシットでもたらされた客観的状況を通じて、また内面の主観的レベル(つまり魂)に新たなエネルギーを蓄えるのである。この世に生まれて来たからには、イメージを確実に現実的世界に投影出来る事が望ましいし、心理的な健全な発達と言う意味でも確実に願望が達成されて行くということは望ましいの事なのである。ただ、アストロロジーは、単なる占いや開運法でもないし、単純に願望達成を後押しするもので無いというのはどういうことかというと、これは、人生の一番の目的は魂のバランスをとることと、意識の拡大を目指していると言うこと、また、全ての存在は、大きいものも小さいものも相互に影響し合って進化のドラマを創造していると言うことを、この短い人生の中で学ぶ事を教えているのである。であるから、単純には、願望の達成とは関連付けて捉えることは出来ないのである。

 

 出生図は、「自分は何をどの様に学びに来たのか?」と言うことの基本的な事を示すものであり、進行とトランシットは、その展開パターンを示すものである。そして固有の学びのテーマを確実に細分化して捉え、自己の血肉とする為に役立てるべきなのである。さて、プログレッションとトランシット示している内容が相反する内容である場合は、判断が難しくなる。その場合は、多くの人は、内面と外面の調整が難しくなるような事が起きたり、物事が自己のイメージ通りに動かなくなることが起きて来るからである。その場合を含め、総合的視点からどのように解釈して行くのかを以下、手短かに説明する。

 

  イ、基本は出生図である。まず最初に徹底的にネータル・チャートを洗うべし。ネータルでお互いに強力なアスペクトを形成している惑星のプログレッションやトランシットの影響は強くなる。ネータルで明確なアスペクトを形成していない惑星同士のディレクションやトランシットは影響が弱くなる。出生図の中でアングルにある惑星であったり、また、ASC.やMC.の支配星である惑星はプログレッションやトランシットの時の影響は強くなる。また、出生図で自己の宮(火星なら牡羊座、木星なら射手座、土星なら山羊座)にあったり、自己の室(金星なら2室と7室、火星は1室、土星は10室、天王星は11室など)にある惑星の影響も強くなるので考慮すること。

 

 ロ、ネータルでアスペクトを作っている惑星同士が、進行、トランシットでアスペクトを形成する場合は、ネータルのアスペクトの性質をベースにして現在起きているアスペクトの性質が発現すると考える。つまり、たとえば、出生図でスクウェアで、進行でトラインの場合は、その両方のアスペクトの意味合いが出て来る。通常、その時点のプログレッションやトランシットのアスペクトの方が強調されて出て来るが、単純にどちらの意味が強くなるとは言えない面もあるので注意深く判断すること。ネータルに対して、プログレッションやトランシットがネイタルチャートと同じような傾向のアスペクトを形成したときは、ネータルの力を助長するものと考える。反対の傾向が出た場合は、そのネータルの性質を変化させたり、方向転換と捉えるべきだろう。

 

 ハ、進行、トランシット共にアスペクトの強弱は出生図の解釈と同じである。つまり、合が1番強く、次がオポジション、次がスクウェアとトライン、次がセクスタイルとなる。

 

 ニ、同じ時期にプログレッションとトランシットが同じ様な傾向を示している場合は、その状況が確実に訪れる可能性が高い。また、その状況を通じて人生を学ぶ様に強くプログラムされているのである。内的意識の具象化という点について言えば、その人は物事がスムーズに展開したりする事になったり、内面に思い描いていた状況と現実の一致を見るだろう。つまり、この時期は主観と客観が同一化する事が多いのである。否定的な出来事においても、進行、トランシット両方とも強い場合は、逆らう事が出来ない様な状況の中で生きて行くことになるだろう。そういう時は、外的世界の状況に変化を加えようとしても難しいだろう。心理的には、外側に投影する内的自己イメージと、外部から投影されるイメージの同調感が強い時期となる。であるから、この様な時期は(良くも悪くも)自己の評価と、他者からの自己への評価が食い違うことは起こりにくい。

 

 ホ、同じ時期にプログレッションとトランシットの内容が正反対の傾向を示している場合は、基本的に言える事として、自己の主観的プログラムを現実に投影する場合は、いくつかの修正と転換を迫られると言うことです。自分自身の自己評価と、他者の自分に対する評価が幾らか、または大きく食い違ったりする事がよく起きる。さて、人生の転換期などでこの様なアスペクト状況になったとする。そして、周囲の人の意見に合わせて、自己の主張を引っ込め生き方を変えたとすると、この場合、本人は自己の内心からの欲求が客観情勢によって変化したのではないかと考えるかもしれないが、これも始めから予定されていたその人の魂の勉強であると考えた方が良い。この場合は、この人は、人生の重要な局面で正反対のエネルギーをどの様に取り扱うかを学ぶ事にした訳である。必ずしも他者の方とか、客観的なレベルから来る意見や価値観が優れているとは言えない。人生は、時には、自己の信念を貫くべき時もあるだろう。その判断は、その状況によって異なる。上記の様な場合で、太陽のプログレッションが強力で肯定的であるが、月のプログレッションが曖昧でやや弱いとする。同時に木星と土星のトランシットが太陽の進行と同調し、それを助長しているとする。ただ、他のトランシットが大部分反対の性質になっているチャートの解釈では、これは最終的には、思い切って自分の考え方で貫いた方が良いと判断する。この時、月のプログレッションは弱いので、(太陽の示す)基本的理念とエネルギーはしっかりしているが、日常的な生活とか具体的な面で苦労する事が考えられる。したがって、意識の深い所からの力を、より日常的な細かい部分で表現出来るかが課題となる。男性原理と女性原理の調整と協調も必要である。それが出来れば木星と土星のトランシットが強いので、多少時間はかかるが、最終的にはイメージや願望の結晶化が出来るだろう。色々な人生の選択に迷う様な時は、この様に、(進行とトランシットが異なる)パターンになっている事が多いので、各自その点を注意して読んで行くようにして下さい。

 

8、月の進行について

 

  A、月の進行の意味

  太陽の進行が、人生の大まかなプログラムの変化と進化を表しているのに対して、月の進行は、より日常的で、そしてサイクルの短い周期の変化と出来事に対応する。太陽の進行ディレクションは、通常半年から1年間影響力があるが、月の進行ディレクションの影響は、約1ヶ月間くらいである。月の進行は、約2年半で一つの室、または星座を移動する。したがって、2年半の周期でものごとの状況や変化を読み取ることが出来る。まず、進行中の星座であるが、太陽の様に30年間も在宮する訳ではないので、人生上の大きなテ−マになることは少ないが、気質や体質の変化にはかなりの影響があるようで、注意深く分析する必要がある。また、月の進行中の室は、その室の意味するところに意識の焦点が向かうことを意味する。そして、アスペクトが具体的な出来事や心理状況を表示して行く。なお、進行の月は、約27.3年で12室(宮)を一周する。以下、解説する。

 

  B、進行中の月が在宮している星座

  牡羊座を進行中・・・性質は活発になり、外向的になる。新しい分野に挑戦する。やや短気、独断的。野性的環境やスポーツ好きになる。血圧が不安定になりやすい。

 

  牡牛座を進行中・・・どっしりとした考え方で、人格に安定感と落ち着きが出て来る。経済観念は向上する。やや不活発な行動、頑固。喉の病気、肥満になりやすい。

 

  双子座を進行中・・・気質や行動は軽快で、生活に変化を求める。頭脳は活発でコミュニケーション上手。小旅行が多い。呼吸器系、神経の病気に注意が必要。

 

  蟹座を進行中・・・ゆったりと落ち着ける環境を求めます。母性的な暖かさの中に保護されたり、したりする。やや気むずかしい。胃腸、消化器系の病気に気を付けること。

 

  獅子座を進行中・・・おおらかで、ものごとは大きく考えます。創造性に優れる。ものごとは小さいことを見逃しやすい。尊大な面もで出る。眼、動脈、心臓の疾患に注意。

 

  乙女座を進行中・・・細やかな気質で、良く気が付く。現実的で地に足が着いた感じ。  神経質。健康法や衛生に注意を向ける。貧血、神経、腸の病気になりやすい。

 

  天秤座を進行中・・・何事も調和を大切にして行動する。優れたコーディネーター。結婚の話が多くなる。優柔不断。調子の良い会話。腎臓、大腸、腰の病気に注意。

 

  蠍座を進行中・・・感情的に深く、強くなる。死やセックスに関わることが多くなる。子供が産まれたりする。嫉妬心が強い。秘密主義。子宮や性器の病気、または痔に注意。

  射手座を進行中・・・陽気でオープンな性質。精神世界や瞑想などに興味を持つ。外国と縁が出来る。話が理屈っぽい、オ−バ−。大腿部、肝臓、の病気に注意すること。

 

  山羊座を進行中・・・地味だが、確実性のある言動。野心を持つ。コツコツと働く。地位の向上。家庭的には良くない。陰気、けちくさい。血液、皮膚、骨の病気になりやすい。

 

  水瓶座を進行中・・・暖かい友情と平等意識。人道的な行動。ユニークな発想と行動。一人気ままな生き方。風変わり。反逆的。低血圧、痛風、静脈、足の病気になりやすい。

 

  魚座を進行中・・・同情心豊か。感受性が強く、すぐに心が変わる。音楽、美術、詩に興味を持つ。非現実的、夢想的。末梢神経の麻痺、喘息、薬アレルギー、足の病気に注意。

 

  9、月の進行と12ハウス

  月は、表層の意識であり、気質やくせです。社会に向けている「ペルソナ」的意識をも表示します。また、子供の時に描いた原型的な人生の基本イメージとその展開を示します。進行中の月のいる室は、その人の身近な興味の対象であり、また、出生時にプログラムされた、前世からのカルマを具体的に展開する場を示すものです。進行中の月のいる室は、世界を正しく認識するために与えられた「12の窓を意識化すること」と考えられ、その室のテーマを確実にこなし、自覚を深めていくことは極めて重要なことであると私は考えます。なぜならば、太陽の進行だけでは、日常的な現実や、細かい出来事を自覚しにくいと言えるし、また、惑星のトランシットは、太陽と月の進行無しでは、充分な解釈が出来ないからです。月の進行中の室を自覚して気付くということは極めて重要です。12サインが集合的な無意識、または個人の心理的な傾向を大まかに示すのに対して、このマーヤの世界(注1)に投影する具体的な12の窓の外に展開する具体的な場を通じて意識の確立と進化を体験するのです。したがって、この月の進行とハウスは、ディレクションの中では占星学のキ−・ポイントと言えますのでしっかり勉強して下さい。ハウスと進行中の月の方が、進行中の月の星座よりもはっきりした影響を感じられることが多いでしょう。進行している月は、ハウスのカスプ(境界線)を通過する時に最も強い影響力が感じられます。なお、ハウス分割は沢山方式があるので、幾つかを混合して判断する事が望ましいのですが、学習者はまず、イコール・ハウス・システムを学び、次にプレシーダス、コッホ・システムなどと進んで行けば良いでしょう。私は、この3種類のハウス区分法を憶えれば十分だと思っています。ハウスのカスプは大体の目安として掴んでおけば良いのです。

 

  イ、月は1室を進行

  あなたの生活環境に変化が生じて来ます。新しい自己のイメージに気付きます。古い生活パターンを捨てて、人生に新しいテーマと生活スタイルを取り入れましょう。具体的な変化は大きいけれど、意識の変化は何となくやって来ることも多いので、自分の性格の変化が分からず、他人から言われて気が付くこともあります。自己のイメージと表現の場の基本的なスタイルを確立させようと促しているのですが、これが深いレベルでの人格の変化になるかどうかは、太陽の進行や、チャート全体を見ないと判断出来ません。この室は牡羊座に対応するので、自己の精神を開拓して新しい面を付け加えさせようとする。進行中の月が火のサインならば、新たな分野にチャレンジする意識が高まり、地のサインならば、現実的で落ち着いた生き方に転換して行き、風のサインは、軽快でフットワークのある行動力が目立つようになり、水のサインならば、情緒的で感情豊かな生活方針への転換が見られます。この時期は、移転、結婚、出産、離婚、就職など人生上の大きな転換期に当たっています。自分のイメージ・チェンジや新しいものごとのスタートに良いでしょう。

 

 ロ、月は2室を進行 

  日常的な出来事や人間関係があなたの具体的な所有意識を刺激します。何か形あるものに執着したり、形や肉体を通じて自己を表現したくなるでしょう。感情的な面も大きく刺激され、具体的な物や人間関係への所有の意識を点検され、そこで気付いたり癒されたりする時期です。この室は、牡牛座に対応するので、感情は「固定化感覚」になって行く事が多く、ある意味では安定感があるが、融通が効かない面も出るだろう。進行中の月を星座の四区分で分類して見ると、火の星座は、物質的こと、金銭への意識を通じてのリーダーシップと改革的意欲を高める。地は財政、金融、不動産などへの関心を高め、着実に所有物を通じて自己の存在を確かめようとする。また、風は所有している知識や情報を通じて、金銭などを得ることにより自己確認する。水は、金銭、物や肉体への所有欲の中に感情的うるおいや、気持ちのつながりを求めることによって自己確認する。月の持つ直感やイマジネーションまた母性的な感覚と大衆性を、物質や金銭との関係を上手につなげる時期とも言えよう。8室と180度なので、(金銭問題などを通じて)嫉妬深くなることもある。一般には、収入を増やしたり、経済的な出来事が多くなる時期。会社の設備投資には良い。財政的には向上するチャンスなので、努力すれば報われる時期です。

 

  ハ、月は3室を進行

  人生の中に軽快な波動を強め、変易性と柔軟性の中に身を置くことによって沢山の日常的な情報をこなし、また伝達していくことに意識の焦点が向かう。生活の中にある身近な知識を点検したり、学習したり、技能を磨いたりすることが多くなる。2室の様に動きの乏しい固定的感覚ではなく、変化に満ち、ものごとを多角的に捉えて行こうとする意識が目立って来る。心や頭脳の働きは活発で、日常的で合理的、一般的な知識を増やしたりする事が多くなる。したがって、日常的に出会う人間関係や兄弟、親類を通じてその知識を伝達したり、されたりすることによって自己を確認することが多い。3室は、人類や日本人の集合的無意識が形成した「日常世界をつなぐ機械的知識とルール、」である、また、電話、FAXなどの道具を認知し生かすことも意味するから、その分野の知識や情報、道具を増やすことによってコミュニケーション能力が豊かになり、生き方が楽になって来るだろう。周囲の人に対してものごとを正しく認識したり、伝達することが重要な課題となる。一般的な、合理的な考え方や世界観と、月の持つ直感やイマジネーションを調和・統合することが課題となる時期。通常、電話などの連絡、契約、旅行などが多くなる。運転免許をとったり、自分のミニコミ誌を創ったりなどの現象が起きてくる。教師、ライター、記者などもの書いたり話したりする職業に従事している人にとっては幸運な時期となるだろう。

 

 ニ、月は4室を進行

  この室は蟹座が支配する。したがって、月にとっては居心地が良い位置である。普段よりもデリケートで感性は豊かになる。自己の情緒面や内的郷愁が刺激されるだろう。その心のふるさと的なくつろげる郷愁が感じられる様な状況の中に浸ることが多くなります。大地に根を下ろし、ゆっくり養分を吸い込んでいるような感じであり、また、真の意味で気持ちを委ねられる安定した基盤を求めます。この時期は自分が確実に気持ちを委ねられるものが何であるのかを確認することが大切。そして、その安心できる「自己の基盤的イメージ」を自分のものにして意識化して下さい。そして、そこから栄養を吸い取って自己の内的、母性的アイデンティティーやそれに対するエモーショナルな同調意識をを確認したら、今度は、それを客観視してあまりそれに執着してはいけません。この4室やIC.は、地球の中心に向かう、人類の共通の「存在の基盤・ふるさと意識」ですからおろそかにすることは出来ません。しかし、そこがいくら安らぎの場所だとしても、とらわれていては次の動きが出来ないし、大部分の人は、「地球の中心意識」などではなく、家庭や地域の集合的無意識の中に感情的に取り込まれて行動している訳ですから、したがって、つまりそこのレベルに留まっている人は発展が無く、「池の中の蛙」になってしまうということです。意識は常に安らぎの場に対しても醒めて、客観的に見つめていくことが大切。現実レベルでは一般に家庭の中で出来事が多くなり、家の中のムードを良くしようと努力したりします。引っ越しや住居の増改築、新築なども起きやすい。出生図でこの室が強い人は結婚するチャンス。両親、郷土との関係が強まる。

 

  ホ、月は5室を進行

  意識は、まだ荒削りながら、自己の直感やフィーリングを創造的エネルギーとして周囲に向けて発信する事に向かうだろう。自分独自の「何か」を創り出したい出したい衝動に駆られるだろう。自我を主張してみる人も出てくるだろう。他人とは違う自己の創造性に付いて見つめることが大切な課題であり、独自の個性やクリエイティヴな感覚を確認し、それに磨きをかけていくべきだろう。4室的な安心感に捕らわれず、超越していくことが、この室の創造性を花開かせて行くのであるから、思い切った決断力や行動力も必要であろう。自分の才能や個性に気付いたり、人から素質を認められることが多い。フィーリング重視で、あまり論理的、合理的な発想を好まない人も多い。また、独断的な行動も目立つ。子供が産める年代の人は、この時期に出来ることが多い。スポーツ、レジャー、ギャンブルなどと関わることが多くなる。

 

  ヘ、月は6室を進行

  月の感覚意識は、細やかな識別力や神経を通じて、世界を点検、分析していくことに集中される。したがって、自己の内面(現在進化しつつある魂、またはアストラル体など)の状況がどうであるのかをチェックする時期である。この室は、主に個人的なテーマを表す1室から6室までの最後に当たることから、それまでに進行してきた月のエネルギーが確実に1から5室までのテーマを乗りこなし、バランス良く栄養を吸収してきたかを点検整備するのである。この魂の波動の点検分析は、この室が乙女座に対応していることから、「地の性質」を通じて、つまり実際的な仕事やその人間関係、部下、肉体の状態の変化、病気、弟子、ペットなどを通じて表現されるだろう。したがって、この時期は、内的意識やアストラル体にゴミが着いていたり不調和なところがないかどうかをしっかり見極め、それをきれいに洗い流したり、波動の修正を行う時期なのである。それが出来ないと、健康上の問題や、職場での不調和な出来事に見舞われるだろう。(特に部下、従業員との関係)。この時期は、生活は全体的に地味にして、心身共に無理はしないことが望ましい。心身を調整する東洋体育道やヨーガなどの訓練をするのも良いだろう。そういった行動を通じて精神的な導師に出会ったり、まれに超心理的な体験をする人も出て来るだろう。

 

  ト、月は7室を進行

  この室は自己中心の世界を離れ、他者という鏡に投影する意識を通じて、そのはね返った光線により、自己の意識や表現を確認することを意味する。アスペクトのオポジション(180度)、または数秘学の「2」の波動が強く投影される室。したがって、ここを月が進行すると、パートナーなどの「相手」を通して自己を評価する周期に入る訳である。そこには、1室から6室までの個人の意識とそれにまつわる関係ではなく、自分の人格や才能が明確に客観的に評価されるのである。いわゆる「世間の眼」を知ることになる。そこで、1室から6室までの経験された自己意識を世間やパートナーに投影し、「自分はこれこれこういう人間ですよ」と訴えて行くのである。しかし、これまでの様に甘い評価が得られるかどうかは、分からない。手厳しい評価を受けてがっくりする人も出るであろう。この室に進行の月が入っている人は、無意識的に「自分の鏡」を求めるようになるであろう。行動も自然にそのようになってくる。今までの6室までの自己イメージでは、あまりに個人的で小さな世界だということに徐々に気付いて来る訳である。、自己を主張することよりも、愛する人との生活や仕事の協力者などと色々な考え方や意見を分かち合いながら生活する方が自己の真の成長に結びつくことを知る訳である。また、この時期に大人になる人は、少年期に評価された芸術やスポーツの実力も、大人になって客観的評価を受けるに連れ、自分は多くの普通人の一人であると自覚し、それがさらなる成長につながることにもなるという時。しかし、人間は主観的動物であるし、大人になって社会に出てもまた結婚したとしても、それまで培って来た主観的自己イメージは簡単にぬぐい去ることは出来ないのである。したがって、パートナーに対して自分勝手なイメージを投影したり、配偶者や協力者、または世間一般に対して、偏見を持つことも考えられるのである。いわゆる「おれは悪くない、会社や世間が悪いのだ」とか、「私の責任じゃない、うちの旦那の責任だ」などということで良く耳にする言葉である。したがって、この室から学ぶことは、自分の鏡である相手に対して真摯な態度で接しているのかどうか、また、相手からの評価を正しく受け止めているのかどうかを点検する重要なポイントなのである。自分を良く知り、真に自分を愛している人は、人からも愛されるでだろう。現実的には、この時期は、恋人が現れたり、結婚したり、他者との協調性が人生のテーマになってくる時期。あなたの人生にとって重要な人が現れて来るでしょう。それまで個人的な事柄にばかり注目していた人が、社会の中に通用する客観的知識やマナー、また協調的な価値観に目覚め行動を開始する様なことも良く起きます。

 

チ、月は8室を進行

  この室は、7室で関わりが出てきた人たちとの「抜き差しならない深いつながりを示す部屋」ですので、ここに月が入ると、結婚した相手との深い一体感を通じてエゴを乗り越え、また、新たな自分に生まれ変わろうとするようなことになります。女性は妊娠・出産も起きやすい。感情的なレベルでの同一感を持ち、宗教や思想運動などにのめり込みながらの一体感に酔いしれるなどということも起きます。他者の意識と、その人(たち)が所有している思想、感情、金銭感覚などとの同一感によって何かが得られると考える訳です。その一体感の深さを味わえない場合は、嫉妬心が芽生えたりすることもある。蠍座に対応する星座なので、極限的な状況に置かれたり、オカルト的な現象や、親しい人の死を体験することも起きそうです。それが原因で霊界の研究を始めたりするかも知れない。見えない世界からの援助を感じる人もあるでしょう。基本的には、「エゴの死と再生原理」を意味する室ですから、エゴを大きなものと分かち合う度量と、それにのめり込まずに冷静に客観的に見ていく姿勢を学ぶ時期と言えましょう。パートナーからの間接的収入に頼ったり、収入、協力者からの資金援助があったり、親からの遺産、財産分与などの現象がクローズ・アップされる時期でもあります。

 

  リ、月は9室を進行

  この室に月が入ると、意識は高次の精神分野と遠方の世界に向けられる。意識やマインドの働きは、3室の様に合理的、機械的に知識を吸収したり伝達するのではなく、抽象的、哲学的な概念を理解することに向けられる。心は開放的で行動的になる。そして自己を精神的に大きく成長させようとして様々な行動に出ます。つまり、大学などで高等教育を受けたり、専門分野の知識を吸収するために勉強したり、哲学、心理学、法律などの分野に関心を持ったり、精神世界や霊的な修行などに関わったりします。日常的な生活のルールではなく、人間存在の本質的ルールや意味を探究するのがこの室のテーマである。外国や外国人との関わりの中に月のイメージを投影したりする事もあります。したがって、日常的に外国人や外国語などと関わることも多くなります。長期の外国旅行、または外国に住むことも起きます。3室が日本(自分の国)の言葉、コミュニケーション、社会常識だとすれば、9室は異国の言葉とコミュニケーションのあり方、習慣、社会常識に当たります。いわゆる「カルチャー・ショック」などはこの室が関係して来ます。したがって、そのような異文化や、大きく異なる世界観に触れることによって意識拡大をはかる時期なのです。人生、学ぶことが多い時期であり、哲学的な知識の取得や瞑想を深めたりするのに良い。高等教育、語学の資格取得、法律関連の受験生にとってはラッキーな時期と言えます。

 

  ヌ、月は10室を進行

  自己の理想イメージを現実社会に投影していくことに意識が向かいます。この世的なアイデンティティーを明確に自覚し、具体的に結実させて行くことに情熱をふり注ぐでしょう。自己をより大きな存在に拡大し、社会的地位を固め、父性的または権威のある自己のイメージを確立し、世界に君臨するとともに、周囲の存在者に対して、親的な、あるいは高位の存在者としてのイメージで、包み込む様な愛情と知恵をあたえ、力強いリーダーとしての自己をアピールして行きます。ユング心理学のオールド・ワイズマン、またはグレート・マザーというイメージに関係する室なのです。したがって、この理想イメージを追求するとき、自己の中に両親や社会に対して偏見やコンプレックスが存在しないかチェックする必要があります。偏見やコンプレックスから出発した場合は、社会に対する不調和を克服出来ませんし、自己の理想を貫くことも出来ず、また周囲の人に悪影響を与えます。独断的で支配的な宗教の教祖や、時には政治家の精神構造の中に時々その様な面を見て取れるでしょう。(その様な偏見や劣等感からのゆがんだ形からの出発であっても、成長の過程で、自己の心のゆがみや問題に気付くことによって、真の理想イメージの確立に向かうこともあります。)また、色々な具体的な目標が達成されることによって、この室に対する執着が急激に薄れて行く人もいます。現実的な社会的目標を超越した人は、MC.の持つもう一つの意味である「地球意識から離れ、精神を宇宙に向けること」に関心が向かい始めることでしょう。この室は意識の深いレベルから見ると、魂の位階に関係します。したがって、この時期はその位階の上昇に関心が向かうでしょう。現実レベルでは通常、この時期は、ビジネス、職業、名声と言った社会的事柄に重点が置かれます。ですから社会的、職業的には向上するチャンスです。この時期は、色々な意味で社会生活から学ぶことが多いでしょう。

 

  ル、月は11室を進行

  10室のイメージから離れ、この時期は真の同胞意識とか人間性の追求に意識が向かいます。ものごとを平等に捉え、社会的執着や通常の競争意識を越えたレベルでの活動を通じて、深い意識の獲得と人間性の開放を求める様になります。自分の理想や希望を達成する人間関係を作れる時期でもあります。人によっては思想的な発達も見られます。通常、自分と同じ様な理想イメージや主義主張を持ったグループ、団体、友人との関係を通じて意識を発展させようとします。友人が増えたり、古い友人、グループとのつながりが復活したりするでしょう。さて、この時期は、個人の問題を越えた広大な意識と希望に心が向かいます。ただ、気を付けるべきは、未熟な人は、個人的執着や偏見を友人やグループに投影する危険性もあることです。その場合は、友人やグループから何か阻害されたとか、利己的に利用されたなどと憤慨するようなことも起きます。しかし、これも本人の意識の投影の裏返しです。つまり、この友人や同胞関係は、10室で確立された社会的意識や教養、自己の魂の位階に相応する人間関係なのです。10室の意識レベルがこの11室に反映されて展開していくのです。この11室は水瓶座に対応します。「真の人間性の開放、平等性」を意味するサインですから、個人的な偏見や執着、コンプレックスなどを受け付けるはずはありません。したがって、個人の狭い了見や認識力を越え、真の人道主義と広い偏見の無い世界観を身に付ける様にしなければなりません。この時期は、具体的に自分の希望を達成させていくことが可能になって来ます。そして、真に友情を分かち合える人とのつながりも出来て来ます。魂の成長を求めている人にとっては、9室と共にこの11室を月が進行中に、意識と人間性を磨く努力をするべきでしょう。通常、現実レベルでは、友人との関係を通じて色々なことが起き、その事柄から学ぶことが多い時期です。11室に結婚の表示星がある場合は、この時期に同胞との恋愛や結婚が起きます。

 

オ、月は12室を進行

  潜在意識を意識化するチャンスです。深い深層意識の中から、様々な潜在的な感情や情動が表面意識に上がって来るでしょう。内面を深く見つめるチャンスの時期と言え、個人の意識奥深く入り込み、自分の無自覚な部分を掘り起こし、それを意識化することによって、ネガティヴなエネルギーを今度はポジティヴなエネルギーに変換して行くことが出来る時期です。この時期、普段の生活の中で自己の潜在意識の屈折した部分を見つめず避けている人や感情的にアンバランスな人は、通常、その無自覚さにを気付かせるために、病気やその他の悲しい現象で束縛されることが多くなります。この時期は、11室の様に軽やかな気分で交友したり、大きな理想に向かって邁進するというよりも、自己の内面に沈潜し、深い瞑想の中からの洞察を得ることに集中する事になります。自分一人で孤独の中に生活することも多くなります。しかし、真の意味で高い意識に到達したいと願っている人にとっては貴重な時期なのです。この室は魚座に対応するので、キリスト意識(注2)を表し、深い無私の愛情と博愛的精神、霊感を養成することがテーマとなっています。したがって、利己主義を捨て、苦しむ人を助けたり、ヴォランティア活動をしたり、精神の修養に励むことに集中すべきでしょう。多くのエネルギーとお金、または技能を持っている人は、出来るだけその力を奉仕活動に向けるべきです。それによってこの室のテーマをこなすことが出来るのです。過剰利己主義は、無意識の中に無用なエネルギーを蓄積させるだけでしょう。また、この時期は、前世からの縁のある人間関係が起きやすいと言われています。そして、その関係を通じて色々な学びがある訳です。それらの人間関係を通じて前世の事を想い起すし、今生の学びに繋げることも出来るのです。

 

  注1 マーヤ(の世界)・・・迷妄、幻想、イリュージョンなどと訳される。これは、仏教や、インド哲学の言葉。この世界は本質的には空であるとか、神あるいはブラフマン(梵天つまり宇宙の創造者)が唯一絶対の実在であり、創造されたこの現象世界には、実在の本質は無いという意味。この世は「幻想、迷妄、仮りの存在」の世界であるという考え方。占星学では、主に惑星の影響するレベルであるアストラル界(幽界)は、真の実在の陰であり、また、物質世界は、アストラル界を鋳型としたその陰であると捉えるのである。仏教では、幽閉された部屋の中に存在する好奇心の強い猿が、その部屋に幾つかの窓を作り、窓の外に展開する世界の現象に捕らわれてのめり込み、マーヤの世界に取り込まれて行き、自分の存在を忘れていくという譬え話がある。私たちの感情やマインドの働きとして、モンキーに譬えられる好奇心に満ちた部分があることは誰しも認めることだろう。このモンキーを、例えば、感情の動きに当てはめながら占星学の月の働きとその進行と捉えていくと分かりやすいかも知れない。この譬え話の中の猿は霊体的なレベルで、この世とかマーヤの存在する原因になるものに相当する。猿の存在する部屋は心理的な、または幽体的なレベルであり、感情や知性の働きによって物事を分類し感知するアストラル・レベルの意識である。窓の部分がその意識と外界の接点である。この部分は幽体と現象(肉体)をつなぐエーテル体のチャクラに相当すると言えよう。窓の外の世界は、この世のマーヤの現象が展開していく12室の場であり、舞台であると考える。そして、次々に窓を開けながら、現象世界を味わうのである。(私は、このモンキーという存在に別に否定的な、また肯定的な意味を込めていません。この場合は中立的に「好奇心が強く、興味の対象に次々に自己イメージを投影し、またその投影パターンを変化させる存在・・・つまり、私たちの感情・知性・マインド」の働きを指しているのです。)

 

 注2 キリスト意識 ・・・これは、イエス個人の意識ではなく、イエス個人に降り注がれた高次の霊的意識の名称である。占星学では、魚座の最も純粋な意識を象徴しているものと考えている。神秘学的には、神の、または真我の意識の一断面と考えられる。

  この、「キリスト」というのは、「油を注がれた者」という意味で、油は高次の霊性または神の意識を表す。したがって、「ナザレのイエス」という二千年前の卓越した霊的人物と、このキリストという言葉は、必ずしも同一のものを指す訳ではないということ。これは、「仏陀」というのが、インドの釈迦個人のみを表すものではないということと同じ様なことである。

 

     

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